« きみの手を引いて:9 | トップページ | 「番外編5」更新しました。 »

きみの手を引いて:番外編5

  

 R-18BL小説です。18歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

  

 第5話

 

     
 膝から力が抜け、上げていた腰が落ちてベッドに突っ伏す。
「ん、う……」
 指を挿れたまま男はオレの身体を横向きにし、背中から抱いた。完全に勃ち上がっていたモノの先からシーツまで糸を引く。

 でも、それさえもろくに認識出来ない。意識が朦朧としていた。 
 男の右手はその指を中に埋めたまま、左手でオレのモノを優しく包み込む。

 びく、と身体が震えたけど、嫌だったわけじゃなくて。
「ふ……っあ……あ、ん……」
 もっと、して欲しかった。アソコに入ったままの指先で、気持ちイイ場所を弄って欲しかった。

「アタマ……ヘン、なる……」
「ん? なんだって?」
 男は耳元で囁き、巧みに指を使う。先走りの体液でぬるぬるになったそれを強弱をつけてなぶった。

 男の硬くなったモノが背中……腰に当たり、その状態が知れる。
 まるで痴漢でもされているようで、そう意識すると恥ずかしくて堪らなくなる。

 膝を折って身体を丸める。精一杯の拒絶。
 それを全く意に介さず、男の手はオレを追い込む。

「ヤだ、あ……っ」
「気持ちイイか?」
「……」

 オレは黙って頭を横に振った。
 どれだけ身体が男の与える快楽を欲しがっても、それだけは認められない。認めるくらいなら死んだ方がマシだ。
 つまんないプライドだって、判ってる。

 だってオレはもう身体を開いてる。男の言うとおり、トロけきった身体はろくな抵抗ひとつ出来ない。男の舌先で泣きながらイかせられ、指を挿れられてその快楽にあえいだ。のみならず、もっとその快楽を与えて欲しい、と身体が告げている。

 浅ましく快楽を貪ろうと開いた身体を知りながら、それでもオレは首を横に振った。
 男は、く、と哂う。
「大した強情っぱりだな。ええ?」

 くちゃり、と音を立てて、浅く入っていた指が引き抜かれる。
 オレを背中から抱いたまま、男は屹立したものを蕩けたすぼみに押し当てた。
「……じゃあ良くなるまでしてやろうか」
「や……っヤだっ……んなの、入んない……っ」

 押し付けられたモノの、指とは比べものにならない質量に身体が強張ってずり上がる。
 男はオレの肩を掴んで仰向けにした。膝に手をかけ、開かせる。
 オレの足の間に身体を進めた男は、自分のものに手を添えてすぼみに押し入ってきた。

「い──……っ!!」
 息が詰まる。背筋が硬直する。

「痛い痛い痛い痛いってッこのバカっ! やめ、抜いて、抜けってば! ムリムリムリ、マジで! 動くな痛い痛い痛あーーっ!」
 男の胸を、肩を押して喚きもがく。
「まだちょっとしか挿れてねえぞ。それにお前初めてじゃねーだろ」
 
 なんで判った? でもそれどころじゃ、ない。
「二回目だよそれがなんだってんだ痛てーもんは痛てーんだよっ!!」
「力抜かないからだ。せっかくローションで慣らしてやったのに」
「うるせ……痛……痛てー……よ……」
 
 暴れたオレは男に手首を掴まれ、ベッドに縫い止められていた。ぽろぽろと涙がこぼれる。
 痛い。なにがなんだか判らない。力の抜き方なんか知らない。
 どうしたらラクになる?

「泣くな。深呼吸しろ」
 押し入ることを止めた男はオレの耳元で低く囁いた。
 言われたとおり深く息を吸う。吐く。何度か繰り返すと少しだけ入っていた男のものに慣れてきたのか、ちょっとラクになった。

「一回目のとき、教わらなかったのか。身体の力抜けって」
「……教わるヒマなかった……。する、ときは……手でいいって言われてたから……長谷川さんはオレの舐めてくれたり……指、挿れたりしたけど……オレいつも手で……でも、あん時だけ違って、て……後ろ向きで……オレ判んなくて……いきなり、つ……突っ込まれて、わけ判んなくて……泣きわめ、て、たら……終わってた……」

「なんだ。レイプだったのか」
「ち、違うっ! 長谷川さんは、そんなこと、……う、動くな……っ」
 押し進めようとする男を上擦る声で制止する。痛みにまた涙が溢れた。
 

「このままのほうがツラいぞ? 入り口のとこキツいから、……半分入れると楽になる」
「ほんとに? ほんとだな? ウソだったら殺す」
 涙声でそれでも精一杯、虚勢を張る。

 男はそんなオレにふっと笑いかけた。今までの、バカにしてるような哂いじゃなくて、優しい、微笑み。
 なんとはなしに安心したオレは、目を閉じて深呼吸を繰り返した。
 
 男はオレの髪の毛に指を差し入れて梳いた。耳に口づけると反対の手は胸を撫でながら下へ降りていく。
「良くしてやる」
 そして痛みに縮こまってしまったオレのものを手の平に包んで揉み解す。

 男が、押し入ってきた。
「あああ……っう、あ、あっ……!」
 背筋が弓なりに反る。呼吸が浅く、速くなる。
「深呼吸」

 動きを止めた男の言葉で思い出す。深呼吸。力、抜かないと。
「声は我慢しなくていいから深呼吸して力抜け。……ここ、気持ちいいだろ」
 男の指がオレのモノを弄って、勃たせる。根元から先端まで大きな手でしごかれてあっという間に滴を垂らしはじめた。

 痛い、けど気持ちいい。
「く、あ、……痛……んんっ……あ……っ痛、い……あっ……ん……」
 よがってるのか拒んでるのか判らない。

 男は動きを止めたまま、唇で耳に流れた涙を拭ってくれる。挿入が止んだのと、快楽に意識を向けようとする男の仕草で、少しずつ緊張が解けて力が抜けていく。
 下半身を見る勇気がなくて、訊いた。
「な……あ、……はんぶん入って、ん、の……?」

「気にするなんざヨユーじゃねーか。……ま、半分も入ってねえな」
「……マジか、よ……どんだけデカいんだ、あんた……」
「さっきよりマシだろ? このまま止めとくの結構辛いんだぞ」
「……」

 それは、そうだろう。ぶっちゃけ、奥まで突っ込みたいはずだ。
「なん……で……気ィ使って、くれんの……? 勝手に、挿れたらイイじゃん……」
「俺はレイプが嫌いなんだよ。気持ち良くない。後味悪い。よがらせて喘ぎ声が聞きたい」

「……これ、レイプじゃねーんだ……?」
「レイプじゃない。契約したろ」
「……ああ……」

 そうだった。男が提供するのは衣食住、オレが提供するのは身体。需要と供給が見事に折り合った結果だ。
 ほとんどそのままの位置で男は軽く腰を揺する。

「あ……ッん、んん、」
 オレの口から出たのはさっきまでのみっともない悲鳴じゃない。いや、みっともない悲鳴の方がずっと良かった。
 男の手はもうオレのモノを弄ってはいなかった。それなのに、喘ぎ声が漏れる。

「ここ、……気持ち良いんだろ」
 男の屹立したモノが、その場所を掠める。
 オレは頭を横に振って、違う、と訴えた。例え指で知られてしまっていたとしても、認めるわけにはいかない。

 けれど、オレの詰まんないプライドなんか男は歯牙にもかけなかった。
「ああ……っ! あ、ん、……あっあっ、や、あ……っ」
 執拗にその場所を男のモノが擦り上げる。そうすることでオレの身体に快楽を教え込んでいく。
 
 精液が流れ出るような感覚に思わず自分のモノに視線を走らせる。先端からは欲情を示す体液がだらしなく腹に流れていたが、白濁した液は飛散していない。
 それでも、イってないことにほっとする暇は与えてもらえなかった。
 
「やっ……あ、やだ……っあ……あああっ……」
 また涙が溢れる。今度は痛みで、じゃない。
 気持ち良くて何がなんだか判らない。声が、やらしい声が勝手に出る。

 男は耳元で囁いた。
「─── 良くしてやるって言ったろう?」
 オレはもう、良くないって言ってやることも頭を横に振ることも出来ない。

 こんなに快楽に溺れていては何を言ってもムダだ。男だってそれが判って、良すぎて涙をこぼすオレを観察している。
「ふ、あ、ああっ、んんっあっあ……っ」
 男のモノが奥まで押し入ってくる。一旦動きを止めて、オレに痛みがないことを知った男はゆっくりと抽挿を繰り返した。

 その間中、オレはあられもない声を上げ続けた。口を塞ぐ余裕もない。
「もう、や、あ……っあ、やだ……っ」
 心臓が苦しい。男のモノを咥え込んだ部分がその存在を明確に伝える。膝が胸につくほど折り曲げられ、最奥まで貫かれた。

 悲鳴に似た喘ぎ声と共にオレは吐精していた。涙がこぼれる。
 後ろに挿れられてイくなんて思わなかった。もう、どうしたらいいか本当に判らなくて、自分の腹にぶちまけてしまった白濁をただ呆然と見つめる。顔がみるみる赤くなっていくのが判った。

 男は黙ってティッシュでオレの粗相を始末してくれる。それもまた、恥ずかしさに拍車をかけた。
「わ……哂えばいいだろ……っさんざんヘンな声上げて、よがってっ……」
 良くなってしまったことが悔しくて、惨めで涙が出てくる。
「二回もイかされてっ……下であんあん言ってるオレ見て哂いたくてたまんないくせに、なんで黙ってんだよ! あんたなんか大嫌いだっ!」

 自分でも、めちゃくちゃなこと言ってんな、と微かに思う。完全に八つ当たりだ。
 実際のところ男は優しかった。無理やり突っ込んで自分だけ終わらせることも出来たのに、オレをちゃんと『良く』してくれた。
 現に今だって、男はイってないままオレの中で動かないでいる。多分、本当に優しいのだ。

「……痛くないか?」
「痛かったらイかねーよっ! バカじゃねえの!? あんた名前は!?」
 バカじゃねえの、と同じ勢いで訊いてしまった。だってカラダつながってんのに名前訊かれないし、教えてもらってねーんだもん。

 優しい悪魔はあっさり名乗った。 
「臣。家臣の、しん、で臣。お前は」
「……ミハル。桐島 瞠」
 桐島はあの人の養子になる前の苗字だ。本当は長谷川、なんだけどそう名乗るのはなんとなくイヤだった。─── あのひとと親子、って突きつけられてるみたいで。

「ふーん。ミハル、ちゃん」
「キモい。ちゃん付けすんな。ハル、でいい。……ずっとそう呼ばれてたし。臣、は、なんて呼んだら、イイ?」
 挿れられてる圧迫感で、本当はあんまり余裕がない。けど、平気な振りで会話した。

「まんま、呼び捨てでいい」
 本当は臣はすげー金持ちで、いいとこのボンボンで、呼び捨てにされたことなんか一回もないようなご身分だってオレが知るのはしばらくしてからだ。
 もっとも、その頃には呼び捨てに慣れちゃって変えらんなかったけど。
 
「苗字? カッコ、いいじゃん、」
 息が上がる。誤魔化そうと思って、軽口を叩いた。
「違う。名前が和臣。偉大な親父さまの家臣たるべくこの世に生を受けたってしるしだ」
「?」

 なに言ってんだかイマイチよく判らない。父親の家臣なんてことあるだろうか。
 不思議そうな顔をしていたらしいオレに臣は、ふ、と笑った。
「判らなくていい。……ハル」
 
 臣が耳元でオレの名を呼んだ。同時に動きが再開する。
「あ……ッ、待っ……」
「痛いか?」
「……痛くねーよっ……」

 臣は、気持ちいいか、と訊くより痛いかどうか訊くことにしたらしい。オレが気持ちいいって絶対言わないからだ。
 なんとなく勝ったような気になったのも束の間。

 オレはまた、臣の与える快楽に翻弄された。

 

   

   

   目次next≫ 

   

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

   

« きみの手を引いて:9 | トップページ | 「番外編5」更新しました。 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: きみの手を引いて:番外編5:

« きみの手を引いて:9 | トップページ | 「番外編5」更新しました。 »

2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フォト

リンクⅡ

  • 拍手お礼画像等を使わせて頂いています


  • アルファポリス


     
  • 雪ひろとさんと鷹槻れんさんのサイトです。


ブログバナー

  • Bromance

    リンクフリーです。報告は任意でお願いします。
無料ブログはココログ