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ヘヴンズブルー:9

  

 R-15BL小説です。15歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

 

 第9話

 

         
(尾けられた)
 背中に嫌な汗を感じる。
 ヘヴンを出て行く直前の、怒りで真っ赤になった充の顔が脳裏に浮かぶ。
 
 ただで済むはずが無い。
 ダウンジャケットのポケットに両手を突っ込んだ充がゆっくり近づいて来る。
 待つはずも無く、ナオは踵を返して走り出す。

 充の反応は素早かった。3mも行かない内にナオは後ろから肩を掴まれ、正面から薄汚れたコンクリートの壁に押し付けられた。頬が冷たい。
 
「……なにすんだ、よ。放せ」
「乱暴な口の利き方、似合わねーぜ。大人しく何でも言う事聞くのがウリなんだろ」
 売春だけにな、と充は喉の奥で笑う。

 何が可笑しいのかさっぱり判らない。
「そんなつまんないこと言いに来たの。悪いけど付き合ってらんない」
 背後で怒気が膨れ上がる。ダッフルコートの裾を捲り充の右手がナオのジーンズの前を掴んだ。

「……っ」
 悲鳴を飲み込んだナオの耳に充は唇を寄せた。
「……あんまりつれない事言うなよ?」
 囁き、耳の後ろに舌を這わせ耳たぶを口に含む。
 
(気持ち悪い)
 コンクリートの冷たい壁に邪魔され頭を振って逃れることも出来ない。
 充は両手でナオのベルトのバックルを外し始めた。
 
 ヤバい。ナオは身体を強張らせた。レイプされる。
 ベルトがカチャカチャと耳障りな音を立てる。耳に掛かる荒い息とジーンズの上から押し当てられた充の硬い股間に吐き気がした。
 
 外れないベルトに業を煮やした充はナオを自分の方へ向かせる。
 冷たい壁から解放されたナオは充を突き飛ばそうと闇雲に暴れた。その手首は難なく捕らえられ、平手が飛んでくる。一回。二回。二回目は口の中と唇の端が切れた。

「……手加減してんだぜ。でなきゃゲンコでボコッてるところだ」
 充は俯くナオの顎を掴んで上向ける。
「そばかすさえなきゃ結構見られるのにな、お前。知ってたか? 自分が美人だって」

「……バカじゃないの。オヤにもみっともないって言われるような不細工のどこが。レイプしたって面白くもなんともないよ」
「そうかな?」
 ナオの顎を掴んだまま反対側の手をTシャツの裾から中に潜り込ませる。乾いた冷たい手の平で腹と胸を撫で回され、嫌悪に粟立つ。

「……やめろ……っ」
 弱々しく首を振るナオを充はにやにや笑いながら眺める。顎から手を放すとダッフルコートのトングを外し、Tシャツを胸まで捲り上げた。摘まれ立ち上がった乳首を口に含み舌で転がす。
 びくん、とナオの身体が震えた。

「や……っあ」
 こういう時慣れてると厄介だな、と頭の片隅で思う。路上で強姦されかけてるってのに条件反射で身体が反応して喘ぎ声が漏れる。こいつ悦ばせるだけだって判ってんのに、畜生。─── 充はナオの思ったとおり愉しそうにくっくっと嘲笑った。

 唇を噛んで声を殺そうとするナオの背中に手を回し撫で上げる。
 ナオは身を弓なりに反らした。嬲り易く突き出させた胸の突起を唇と舌で弄び、ベルトを外した手がジーンズの中に滑り込んでくる。

「ん……っふ、あ……あっ……ん……」
 充の手が巧みにナオのものを擦り、ますます身体の自由を奪われる。
 我慢しきれず甘えるような声を上げながらナオは焦っていた。

(ヤバい。マジで。……こいつだけは嫌だ、ヤク中だけはごめんだ、絶対ヤク漬けにされる)
 客や恋人にクスリを教えられ、ぼろぼろになった同業者が思い浮かぶ。
(僕が僕でなくなるのはいやだ)

(僕はハルじゃない。七生だ。こいつにレイプされんのもクスリで頭のネジが飛ぶのも、)
「……嫌なんだよ!」

 ナオは自分の胸に吸い付く充の頭を押しのけようと手に力を込める。もう片方の手で股間の充の手に爪を立てた。
「てッ」
 充が怯んで手と頭がナオから離れる。逃げ出すにはまだ隙間が足りない。

 突っ張ったナオの手が充の顔に当たり、ついでに引っ掻く。
「!? ってーじゃねーかこのヤロウ!」
 両腕を掴まれぎりぎりと吊り上げられる。目前の頬の傷から見る間に血が滲み尖った顎先に伝う。

「……クスリやり過ぎだよ。血ィ止まんないんじゃない」
 ナオの言葉で咄嗟に頬に手をやる。手の平に擦られた赤い色を見て充は青ざめた。
 その隙に片腕だけ解放されたナオは充の脛を蹴り上げる。

「いっ……!」
 充の力が緩んだ隙に手を振り払い壁と充の間から抜け出す。
 逃げられると思った瞬間。
 
 後ろから充に抱きつかれて引き倒された。
 馬乗りになった充の血走った目がやたらと大きく見え、背筋が凍る。
 充の拳が振り上げられた ───。

   

    

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