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きみの手を引いて:34

  

 R-18BL小説です。18歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

 

 第三十四話

  

   
 大きな温かい手が頭を撫でてくれる。
 そのことに心の底から安堵したハルは身体の力を抜いて、撫ぜられるままになった。

 気持ちが良くてうっとりとする。頭を上げるとその手が離れていってしまいそうで、そのままの姿勢で目の前にあるジャージに包まれた長い足を盗み見た。

 柚月は椅子から立ち上がり、ハルに近づき過ぎないように腕を伸ばして、その頭を撫でていた。不用意に近づくまいとするその態度はハルをより一層安心させ、下手な慰めを口にしない柚月の心にハルの気持ちはますます傾く。

「……柚月さん」
「ん?」
「オレの、こと、イヤじゃない……? 気持ち悪く、ない……?」
 消え入りそうな声で訊くハルに柚月は応える。

「嫌じゃない。気持ち悪いなんて思ったこと、一回もない」
 ハルはほっとして笑みを浮かべた。
「……隣、座って?……」

 柚月は少し躊躇しながらもハルの隣に腰を下ろした。あくまでもスペースは空け、これ以上近寄らない、と自分の心に誓う。
 その誓いを破りたいと願ったのはハルのほうだった。

「ちょっと……でいいから、……ぎゅっ、て、して……?」
 ハルの頭を撫でていた柚月の手が止まる。その手がすっと柔らかい髪の毛から離れた。
「……そういうことは成沢さんに頼め」

 目を逸らし、ハルを視界から消す。ハルの頭の形を、柔らかい生乾きの髪の感触を覚えている手の平を何度も閉じたり開いたりした。

「柚月さんがいいんだよ」
「いいわけないだろう。……成沢さんと連絡取ってるのか、ちゃんと」
「……」
 また成沢さんだ、とハルはため息をつく。臣なんかどうだっていいのに。
  
「最後に会ったのいつだ。去年てことないだろうな?」
「……去年だよ。クリスマス前、……柚月さんがヘヴンでオレのこと連れ出した時」
「あれきり会ってないのか? 電話は」
「話すことなんかない」
「……あるだろう、色々、……バイトのこととか、柚月が酔っぱらって帰ってきて大変だった、とか」

 ノロケるのも大概にしろってケータイブチ切りされる、とハルは心の中で呟いてそっぽを向いた。
 柚月は立ち上がり、パソコンデスクの上の缶ビールを取り上げて飲んだ。ベッドの方に視線を向けないように言う。

「今頃なら成沢さん、ヘヴンにいるんだろう。行ってこいよ」
「行かない」
 にべもないハルの言葉に柚月は振り返った。

「なんで。……成沢さんに会って抱きしめてもらえ」
「やだよ。柚月さんがいいっつってんじゃん」
「─── 俺を身代わりにするなよ」
 苦笑いしながら軽い口調で言う柚月に、ハルは拗ねたように唇を尖らせた。
 
「身代わりなんて一度もゆってないよ。柚月さんがいいんだ」
 頑なにハルは自分の主張を曲げようとはしない。
 柚月はビールを飲み干すと、パソコンデスクの上に置いた。コン、と軽い音。
 
「……」
 大きく息をついて、振り返るとベッドに上がった。柚月の膝の下でスプリングが軋む。
 ハルの抱えた膝ごと、抱きしめた。

 驚いてハルは身体を強張らせる。それも一瞬のことで、柚月は腕の中でその身体が柔らかくなるのを感じた。
 パジャマを通して体温が伝わってくる。お互いに相手の温度がひどく心地いい。
 
 柚月の手がゆるゆるとハルの肩を撫でる。その手が脇腹をゆっくりと下がってもハルは柚月に凭れかかったまま、警戒する様子もない。

 ─── ハルのパジャマとTシャツの下に柚月の乾いた手が潜りこんだ。
 ハルの身体に緊張が走る。
 
 柚月はハルの腹と胸を手の平で撫でまわした。頭を撫でた時とは違う、あからさまに性的な仕草。
 ハルは頬に血を昇らせて俯くばかりだ。
 柚月には、ハルが精一杯我慢しているようにしか見えない。
 
「─── これでも、俺がいいか?」
 低い声音で訊ねる。
 「嫌だ」と言われる自信があった。

 ハルは答えず、柚月の手が直に胸を這い回っているせいで、ごそごそと動くパジャマに目を落としている。
 尖ってきていたハルの胸の突起を柚月は指の腹で撫でた。 
「っあ……!」
 びくっと跳ねたその身体に圧し掛かる。

 柚月はハルのTシャツをパジャマごと捲り上げた。明かりの下に晒されたハルの上半身は熱を帯びて桜色に染まっている。
 思わず柚月はごく、と喉を鳴らし、目を逸らした。
 平静を装う。

「……俺がいい、なんて言うからこんな目に遭うんだ。抱きしめられるだけで済むと思ってたのか? レイプされかけたの忘れたわけじゃないだろう、…… 成沢さんのところに行って、柚月のバカに痴漢された、って言いつけろ。俺に預けたの間違いだったって、あのひとだって」
 
「成沢さんのとこなんか行かない」
 恥ずかしさで耳たぶまで赤くしながらハルは、それでも言い募った。
「絶対行かない。ここがいい、柚月さんがいいんだ……っ」

「いい加減にしろ、どこまで強情なんだっ?」
 イライラと柚月はハルのパジャマの上衣を乱暴に下ろして直した。ハルの上から退き、背中を向けてベッドに腰掛ける。

「……どうして成沢さんに会いに行かないんだ。俺に気、使って遠慮してるのか? 大きなお世話だ、余計惨めになる。……好きでもない奴に触られまくってなんで我慢してる? 触るなって言えばいい」
「……遠慮なんかしてないよ。我慢もしてない」

 ハルは起き上がり、うな垂れる柚月の背中を見つめる。その切ない視線に気づかず、柚月はため息をついた。
「金もらっても嫌なくせに。……ここを追い出されたら行くとこがないからか? そんなことはしない、大事な預かり物だからな。安心してデートしてこい」

「オレ、ゆ……柚月さんが、好き、……だから」
 小さなハルの声が静かな部屋に響く。
「……気、使うなって言ってるだろう」

 このままハルと二人きりで部屋にいるのはマズい、と柚月は思い始めていた。自分の気持ちを知っているハルが、気を使って、あるいは同情で、寝てもいいと言い出しかねない。
 ハルと一緒にいたいばかりに、正直に気持ちを話したのは間違いだったか。柚月は後悔しながら腰を上げようとした。

 ハルは柚月の背中に抱きついた。
「おい……!」
 振り返りながら、ハルの肩を掴んで引き剥がす。潤んだハルの瞳に見上げられて柚月は息を飲んだ。

 一瞬、手の力を緩めた柚月にハルは唇を重ねる。
 驚いた柚月はハルを振り払おうとして、─── 出来なかった。

 ハルの舌がおずおずと柚月の唇に割り込んでくる。
 気がついたときにはその舌を自分の舌で絡め取っていた。強く抱きしめる。

 ハルの口腔に舌を潜り込ませ、上顎に、舌下に這わせる。歯列をなぞると甘い吐息を漏らして震える華奢な身体が愛しくてたまらない。
「……ごめん」

 それでも柚月は唇を引き離した。他に思うひとがいるハルに手を出すわけにはいかない。
「わ……悪かった。ごめん、……」
 柚月の胸に顔を埋めたハルは頭を横に振った。

 大きな柚月の手をハルは自分の中心に導く。硬いそれに気付いた柚月はパジャマ越しに手の平に握りこんだ。
「……っ」
 背筋をびくん、と反らせたハルが、瞼をうっすらと染めて柚月の肩に凭れかかってくる。その吐息が耳にかかり、柚月は自分の体温が上昇したような気がした。

「……は……っ……は……」
 柚月が手を動かすたびにハルの息が上がる。耳元で、ごくん、と喉を鳴らす音が聞こえた時、柚月はハルの下着に手を入れて直に触れた。

 楽にしてやるだけだから、それ以上はしないから、と自分に言い訳をする。
「あッ……ん……っん……」
 ハルの声に煽られて、その身体を押し倒した。

   
 
 

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