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2009年8月

月が見ている。第十話更新

 

 R-18に指定しました。ついにマークのお世話に。最初から指定しとけば良かったか……┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~

 Rが付かないお話がいっこもないなあ。どうなってんだ、一体。
 ピュアで繊細で緻密なお話が書きたいです(;ω;)。ヨゴレでざっくりでおおざっぱだからこうなんでしょう……┐(´-`)┌

    

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月が見ている。10

 

 R-18BL小説です。18歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

 

 第十話

 

   
 カナエの唇が、幾つもその跡が残るかずさの胸を這う。
 シャツは半ば脱がされ、ベルトとファスナーを外されたズボンの中にカナエの手が潜り込んでくる。

「ん……っ、あっ……」
 反射的にカナエから逃れようとかずさは背を向けた。
 カナエがそれを許すはずもなく、背中からかずさを抱き込むと長く細い指を下着の中にまで侵入させた。

 カナエに触れられるのが怖い。
「……ちゃんと反応しとるやん。なんで嫌がるん……?」
 吐息と共に甘ったるい声がかずさの耳に流れ込んでくる。

「……やっ……こわ……怖い……っやめて……」
 自分の意思とは無関係に息が上がり、身体が熱くなっていく。荒い呼吸の合間に混じる、淫らな自分の声にかずさはじわりと涙を浮かべた。
 それでもカナエは手加減しなかった。

「あっ、あ、いや……っ」
 怖い。怖い。身体がおかしい。熱い。力が入らない。直に触れられ、今までのカナエの行為は悪戯に過ぎなかったことを思い知らされる。
 そしてカナエは、なおも快楽を教えようと囁く。

「かわええな、……」
 耳に、頬に、髪に、くちづけを落とす。
「……もうぬるぬるしとる、ココ。なあ、気持ちええ?」
「わかっ……判んない……っ」

 頭を横に振るかずさにカナエは笑いかける。
「イキたいやろ……?」
「イ……?」
 どういう意味か判らなかった。ただ身体が熱くて。どきんどきんと胸の中で鳴っているのが苦しくて。

 カナエの手がかずさのものを擦り上げ、指先がくびれをなぞる。先端から滲み出た体液が粘つく音を立てた。
「や……っやあっ……あっ、ん……っ……」
「ヤラしいなあ」

 後ろからカナエに首筋を舐められ、その手に昂ったものを弄られて。ぼんやりと霞んだ視界に、かずさはくしゃくしゃになった翠の写真を見つけた。
「……は……っ……は、……」
 
 シーツの上に落ちているそれに手を伸ばす。カナエに蹂躙され、時折震える指先がやっと届いた。
 手の中に、よれた写真をそっと納める。

(……ど、しよ……こんな、くしゃくしゃになっちゃ、た、……大和に)
 
『大和にやったら喜ぶんちゃう?好きな女の写真やもん』
 
(……大和に、あげたかったのに。大和の、喜ぶ顔、見た……見たかっ……)

 嬉しそうな大和の顔を、思い浮かべる。大好きな、美人で色っぽい翠の写真を見て、最初はびっくりして、でも笑って、俺にも……きっと、笑いかけて。
『俺にくれるて? ありがとうな、かずさ』
 きっとそう言って、喜んで。
 
(……やまと)

 容赦のないカナエの手が緩急をつけて往復を繰り返す。もう片方の手が胸を撫で回し、赤く立ち上がった突起を嬲った。

「っあ、あ、あ、いやっ……」
 潤んでいたかずさの瞳から涙が溢れる。
「大和っ……た、すけて、助けて、大和、……大和……っ」
 悲鳴を上げて、大和に助けを求めながら、─── かずさはシーツの上に白濁した体液を散らした。
 
「───」
 カナエは鼻白む思いで、かずさの顔を覗き込む。……放心したまま、涙をこぼしていた。
 
 何が起こったか判らないのか、抗う気力も失くしたらしいかずさを自分のものにするのは簡単だった。このまま覆い被さってしまえばいい。
 しかし。

「……そんなに大和が好き?」
 幼気なかずさの様子に気が咎め、ない交ぜになった怒りが込み上げてくる。
 ─── 大和の、どこがそんなにええねん。
 
 大和に嫌われたくないと口止め料代わりに自分に身体を触らせ、大和の好きな女の写真が見たいと何をされるか想像がついているくせに自分の部屋へのこのこやってきて、達かされながら泣いて大和を呼んだ、かずさ。

 いつだって、好かれて信頼されるのは大和のほうで、自分ではない。母親も、父親も、見世で使っている者たちも、娼妓たちも、同業の他の娼家でさえ、跡取りは大和で、間違いはない、と思っていて。

 ……みんなが。
(オレでのうて、大和を選ぶ)
 
 いつもいつも自分の上にいて、煩くて、─── そのくせ、跡取り息子と自分を立ててでしゃばらず、アホみたいに人が良くて、いい奴で。
(判っとる)
 大和は、ええ奴や。

「─── もうええ」
 かずさの返事を待たず、カナエは身体を起こしてベッドを降りた。煙草とマッチの箱を乱暴に引っ掴んで大股に歩き、部屋を出る。大きな音を立ててドアを閉めた。

(つまらん、ホンマにつまらん) 
 これやから色気もへったくれもないガキはイヤなんじゃ、ボケ、とカナエは苛立ちを抑え切れず、廊下の壁を蹴りあげた。

 

 

 
 

 ─── ゆっくり身体を起こしたかずさは、ぼんやりと中空に目を向けた。
 カナエはいなかった。

 何がどうなったのか判らず、痺れた頭を巡らせる。視線を落とした。
 前ボタンを全て外されたシャツから、幾つもの唇の跡が覗く。だらしなく開かれたベルト、下着ごと下ろされたズボンから見える白い脚。……乱れたシーツに、点々と散る、自分の体液。

「───……」
 涙が、露わになっている脚に、ぽつ、と落ちた。
 
 何が起こったのか判らなかった。ただ、とても、イヤらしいことをされたのだ、ということは判った。─── イヤらしかったのは、自分のほうだ、ということも。

『……あっ、あ、ん……っ』
 耳に残る、自分のあられもない声。カナエの手を汚した自分の体液が、くちゃりと音を立てて。
『ヤラしいなあ』
 カナエが、笑う。
 
 次々に涙がこぼれる。どうしてこんなことになったのか判らない。カナエの手に、思いも寄らない反応を見せた自分の身体が怖かった。
 
「……っく、……ひっく、う……っ」
 涙を拭おうとした手で写真を握り締めていることに気付く。濡らさないように、そっとそれを開いた。
(翠さん)

 印画紙に焼き付けられた翠はやはり美しい。その分、麗しい顔や華やかな着物に走る折線は見るも無残で、かずさはそうっと写真を指で均した。

「……まと」
 そうしながら、かずさは大和を想う。
「……大和っ……大和ぉ……」

 どうしよう。どうしよう。カナエに弄られて、身体が変になってしまった。大和に知られたくない。─── 会いたい。
 大和の顔が見たい。そばに行きたい。声が聞きたい。大丈夫だと、なんでもないと、言って欲しい。安心させて欲しい。
 
 知られたくないのに、安心させて欲しい。

 相反する二つの思いを抱えて、かずさは泣いた。
 

 

  
  

 カーテンが左右に寄せられた大きな窓から、月明かりが差し込んでいる。
 もう寝るばかりに浴衣を身に付けたかずさは、大和の部屋でベッドに腰掛けていた。時折、俯きがちな顔を上げて窓越しに満月を見上げる。

 大和が帰ってくるのを待っていた。

 どうしても大和に会いたかった。
『なんや、また起きとったんか。はよ寝なあかんて言うてるやろ』
 きっと、そう言いながら、目を細めて自分の頭を撫でてくれる。─── それだけで、安心して眠れる。
 
「……」

 あの後、カナエは家を出たまま帰って来なかった。また彼がやってきて、触られるのではないかとびくびくしながらかずさは自分の汚したベッドのシーツを取り替え、風呂で丹念に身体を洗った。シーツは明日の朝、大和より早く起きて洗濯してしまえば判らないはずだ。
 
 かずさは、ちらりと箪笥に付いた小引き出しを見た。しわになってしまった翠の写真をどこに閉まって置けば良いか思いつかず、薔薇の砂糖菓子をくるんである水色のおひねりと一緒にその場所に入れてしまった。
 
 大和に見つかる前に、どこか、別の場所に隠さなくてはならないだろう。綺麗なままの写真なら大和へ贈って喜ばせることも出来るだろうけど、無残にくしゃくしゃになった好きなひとの写真など、いやな気持ちになるだけだ。
 
 足をぶらぶらとさせて、かずさはまた月を見上げた。
 ─── 大和、早く帰ってこないかな。翠さんと、会ってるのかな……。
 写真の中の美しい翠が大和と寄り添う。お似合いだった。

 ……大和のことを諦めなくてはいけない、とかずさは思った。
 もう随分前から判っていた。大和の好きなのは、翠で、自分ではない。

 揺れていたかずさの爪先が、ゆっくりと止まる。
(でも、……あとちょっとだけ。今日だけ。ほんのちょっとだけでいいから……)
 大和に会いたい。優しい声が聞きたい。

(……少し、だけ、そばに……)
 大和を想い、心を満たすかずさを月が見ている。

 ゆっくりとベッドを降りて小引き出しを開けた。
 翠の写真に目を伏せ、水色のおひねりを手に乗せる。

 そっと開いて砂糖菓子の薔薇を見つめる。─── もう二つしかないのは判っていて、眺めるだけにするつもりだったが、……かずさはひとつを摘んで口に入れた。
 甘い味が広がる。

 大和が、そばにいてくれるような気がした。
 
(大和、……)
 ─── ガタン、という音が階下から聞こえた。
(帰って来た)

 ぱっと上げた顔を綻ばせたかずさは、おひねりを手に携えたまま、ぱたぱたと部屋を出て行った。
 
 
 
 

   

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月が見ている。第九話更新

 

 八話で突貫工事というか全面改装が済んだので、九話もついでに更新。……ついでにしちゃトロい更新ですが、色々と手直したので

 しかしあんまりイロっぽくないな……。カナエさんもかずさに手を出すのが実は気が進まないんじゃないかと勘繰りたくなるほど。もうちょっとなんとかならんか……。次話頑張ります。(  ̄^ ̄)ゞラジャ(ムリかも……)

 

 ちょっと暗くなります……↓

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月が見ている。9

   

 第九話

 

   
「かずさ。かずさちゃん」
 ノックの音と妙に優しいカナエの声をドアの外に聞きながら、かずさは壁際にしゃがみこんで膝を抱えた。

「─── いつでもおいで。待っとるから、な?」
 カナエが遠ざかる気配。かずさはほっと息を吐いた。
「……」

 しばらくそうしていて、やがて立ち上がったかずさはベッドの反対側にある箪笥の真ん中に付いている小引き出しを開けた。中から、薄い水色の和紙のおひねりを取り出す。
 
 かずさはその包みをそっと開いた。小さく繊細な薔薇の花を象った砂糖菓子が、三つ、残っている。

 初めて、翠に ─── 大和の、想い人にもらった菓子であるそれを、かずさは大事に取っておいた。

 都市部との経済格差が大きい、貧しい農村に生まれ育ったかずさは、こんなに綺麗な細工の菓子など見たこともなければ、食べたこともなかった。この砂糖菓子に限らず、大和が持ってきてくれるいろいろな甘味はかずさの憧れであり、未だに手の届かないものとしか思えない。
 
 とくに、この薔薇の砂糖菓子をかずさは気に入っていた。カナエに意地悪をされて、泣いたときはこっそりこれを眺めて気持ちを慰め、時々はひとつだけ口に入れてその甘い味が消えるまで、消えてもなお大和のことを考えた。

 そうすると、だんだんに気持ちが落ち着いて、不思議と心が温かくなっていく。カナエに身体を触られて「お前みたいなガキがいくら大和のこと思ったかてムダや。諦め、」と言われたときの辛く、悲しい気持ちが薄らぎ、大和が優しくしてくれたことを思い出して胸がいっぱいになった。

 けれど、─── この、かずさの心を慰めてくれる砂糖菓子は翠が大和に持たせてくれたもの。

 大和が大好きな翠。
 大人の女性で、色っぽくて美人で優しくて、大和が好きになって当然の……。

 どんなひとか、会ってみたかった。ほんの少し、遠くから眺めるだけでもいい。
 そう思い、以前に「翠さんに直接会ってお菓子のお礼が言いたい」と大和にせがんだことがあった。

『さ、佐野屋とうちの見世は目と鼻の先やで。あかんがな』
 慌てたように言う大和に、かずさは仕方なく諦めた。
 
 ─── ところが、そこへ、不意に目の前に差し出された翠の写真。
 
『おいで。翠のカオ、見たいやろ』

 ……カナエの手を取って、部屋に行ったら写真を見せてもらえただろうか。

 かずさはベッドに腰掛けて、両手の平に載せた和紙の中をじっと見つめる。砂糖で出来た、小指の先ほどしかない小さな薔薇は、薄く黄色や水色に彩色されていてとても可愛らしい。まるで翠自身を象徴しているようで、そんな菓子を見たこともなかった自分とのあまりの落差を思い、かずさはうな垂れた。

 ……砂糖菓子ではなく、直に翠の写真を見たら、大和のことを諦められるだろうか。
 好きじゃない、と。なんとも思ってない、と。

 夜中にこっそり大和の横顔を眺めて、少しだけ近づいて、幸せな気持ちになったり、翠とのことを考えて落ち込んだり、することが無くなるのだろうか。
 
「……」
 翠の写真が見たい、と思った。大和があれほどまでに好きなひとの顔が、見たい。   
 ─── それで大和を諦めなくてはならなくなっても。
 
 かずさは手の平の上の砂糖菓子をひとつ摘んで、口の中に入れた。
 

   

  

 
 コツコツ、とドアを控え目に叩く音がして、カナエは読んでいた雑誌を放り投げた。
 大和はノックなどしない。せいぜい「入るでー」と声をかけて、返事も待たずにいきなりドアを開ける。カナエもかずさが大和の部屋に住み着く前はそうしていた。

 その上、大和は見世を手伝っているはずの時間で、そうなるとかずさしかいない。
 カナエが確信を持ってドアを開けると、やはりかずさがそこにいた。

 息を詰めて、カナエを見上げている。
「……なんや」
 綺麗に整った顔が緊張に強張っているのを目にして、カナエはうっとりと蕩けるような笑みを浮かべた。─── 昨日、エサまいた甲斐があったわ。
 
 意外に釣れるん早かったな、と思いながら、促しもせずにかずさの顔を無遠慮に眺める。
 カナエが部屋に入れてくれないので、かずさは仕方なしに口を開いた。

「……写真……翠さんの、写真、……見せてくれるって……」
「ああ。アレ?─── ええよ。入り」
 
 カナエの部屋に入ったかずさは煙草の匂いに咽そうになった。七宝焼きの灰皿にうずたかく積まれた両切り煙草の吸殻が目に入る。大和の部屋よりも広いはずなのに、床一面に散らばった服や雑誌で足の踏み場もなく、狭く感じた。
 
 乱れたベッドの上からバサッと雑誌が落ちて、扇情的な格好をした女性の絵姿が露わになる。カナエはそれを足で避けて、灰皿の横にあった写真を手に取った。フーと灰を吹き飛ばし、更に手で払う。

 そしてベッドに座った。
 立ち尽くしているかずさに、にやり、と笑う。

「ここ、おいで」

 かずさはカナエに言われるままに近づき、─── その足の間に座らされた。
 背中にカナエの体温。肩の上、耳元に寄せられた口から煙草の匂いが強く香る。自分を取り巻く腕から伸びた手の先に、翠の、写真。

「……翠、さん」
「そうや。べっぴんやろ」

 白い縁取りの中に、綺麗な女性が座っていた。畳に昔の遊女のようなだらりの帯と豪奢な着物が広がっている。半襟の上には白く小さな顔。大きな目は凛とこちらを見つめ、口角を上げた唇は色っぽい笑みを浮かべている。結い上げた髪の毛にはいくつも鼈甲らしい簪が刺さっていた。

「それな、ガイジンのお偉いさんが遊びに来はったときに、昔の太夫みたいのんがええて言わはるもんやから急ごしらえしたんや。着物はどうでもなるけど髪は大変やったでー」
 カナエが囁く言葉はかずさの耳を素通りする。─── 生き生きとした艶やかな翠の姿に打たれていた。

(……こんな、ひとが、大和は好きなんだ……)
 放心するかずさの手に、カナエはその写真を押し付けた。かずさは自分が持たされたことも気付かないまま、翠に見入っている。

「やるわ、それ。─── 大和にやったら喜ぶんちゃう。好きな女の写真やもん」
 カナエはわざと「大和の好きな女」を強調する。かずさの潤んだような悲しい目を覗きこんで、悦に入った。

「大和に見切りつけた?」
 後ろから、す、と手をかずさのカッターシャツの裾から潜り込ませる。びく、と震える華奢な身体を腕の中に閉じ込めて、手の平で滑らかな肌を味わう。

「……っ、カナ……」
 周章てたかずさの声が誘うようにカナエの耳に届く。カナエはかずさの胸の突起を見つけ、きゅ、と摘まんだ。

 びくん、と身体を震わせて、俯けた顔を真っ赤にするかずさにカナエはくすくすと笑った。
「……ヤラしいなあ、……気持ちええの?」
 カナエに身体を弄られながら、かずさは精一杯頭を横に振る。

「ウソやん、……エエてココ、言うてる」
「やあ……っやだ、やめて……」
「まだ大和にみさお、立てとんの?」

 小さな悲鳴を耳に心地よく聞きながら、カナエは腕の中のかずさをベッドの上に押し倒した。
 抗うかずさの手の中で、写真がくしゃりと潰れる。
 あっけなく馬乗りになったカナエは泣きそうなその顔を見下ろした。

「判ったやろ。大和は色っぽいオトナの女が好きやねん。オマエみたいなガキ、相手にせえへん。眼中にもないわ」
 カナエの言葉にかずさの目に涙が浮かんでくる。

「あいつが優しゅうしてくれるからて、勘違いしたんやろ。……大和はダレにでもそうやねんで。オマエが特別なんとちゃう、オレにかて優ししてくれる」
 いらんけどな、そんなん、とカナエは呟く。
 
 かずさはカナエの身体を押し戻そうとした。……その余りにも弱々しい力に返って嗜虐心を煽られたカナエは、華奢な手を乱暴に振り払う。

「諦め、もう。大和なんか思っとるより、オレがええこと教えたる」
「……っ」
 カナエの唇が首筋を這い、かずさは声にならない悲鳴を上げて嫌がる。
 
 ─── けれど、カナエの言うことは間違っていなくて。
 大和が好きなのは、翠で、……どんなに望んでも、大和が子供の自分を振り向いてくれることはなくて。

「─── 大人しなったやん。そのまましとき」
 ベッドに押さえつけた細い二の腕から力が抜けたのを知ったカナエは、笑みを浮かべた。

 
 
 

   

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 16さんのブログ「現実逃避中毒」とリンクさせて頂きました\(^o^)/

 16さんの書かれるBL小説が好きで、応援しています。とても文章が上手で、16さんの小説を読むと、自分の小説の拙さに落ち込むのが必至。(でも読んじゃう。面白いから^^;)……なのに16さんは八月の書く小説が好きと言ってくださいます……。

 な、なぜだ……明らかに16さんのほうが上手くて面白い書き手さんなのに(;ω;)。憧れ、と言っていただくと気恥ずかしくて隠れたくなる……。ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ

 そんな風に八月をキョドらせる16さんですが、BLじゃない短編もいくつか書かれています。BLは長編の「キングの買い物」。オススメです。(*^ー゚)bグッジョブ!!

 

 

「月見」第八話更新

 

 月が見ている。第八話更新しました(*^.^*)

 せっかく三万アクセス突破したのに、何もナシではあんまりだろうと予定より少し早く掲載することにしました。十話ぐらいまで中身が固まってから、と寝かせといたんですが、突貫工事でなんとかなったので出します。って書いてる本人以外何のことだかさっぱり判らない……。┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~

 構成……構成って、難しいですよね……。お話を書くときはいつも流れで書いて、その後、構成を変えたりするので「このひとまだこんな気持ちじゃナイ」とか、多々ある……。書きたいところから書くのも悪いんだと思います。……でも、最初から順繰りに書いてもモチベーション上がらないんだもん……。(´・ω・`)ショボーン

 悪癖にめげずに、次話も頑張ります。モジモジ(。_。*)))
 

月が見ている。8

 

 第八話

 

  
 ─── 大和とカナエが暮らすこの屋敷にかずさを住まわせるようになって、あと数日で一ヶ月が経とうとしていた。

 かずさの変化には気が付いていた。大和がどんなに遅く帰っても無防備に眠っているということはなくなり、待ちかねていたように食堂に降りてくる。口数が少なくなり、食欲もないのか、以前から決してよく食べる方でもなかったのが、尚更食べなくなっていた。

 それでも、大和が「翠からもらった」と称して持ち帰る菓子の類には喜ぶ顔を見せた。

「ありがとう。こんなの、食べたことない。翠さんにお礼言ってね」
 嬉しそうなかずさの表情に、大和は顔が綻ぶのが抑え切れない。高揚する気分のまま、ほんまはずっと俺が買うてきてん、と口が滑りそうになって、その言葉を飲み込んだ。

 そんなことを聞かされたら、かずさはびっくりしてしまうだろう。喜ぶ顔が見たい、その延長線上にある下心に勘付いたかずさはきっと自分を避けるようになる。一緒のベッドを使うことはおろかそばにいることさえままならず、贈り物である菓子も、もう受け取ってはくれまい。
 
 それは、大和には耐え難いことだった。今までかずさから得ていた信頼を一気に失ってしまう。
 自分を兄とも母とも思い、慕ってくるかずさを持て余す気持ちはとうに消え失せ、あとにはなんとしてもかずさに好かれたい、という思いだけが残っていた。

 ─── 本当は最初から判っていた。持て余していたのは、自分の心の方だった。

 かずさに、まだ十三の子供に傾いていく気持ちが止められない。その気持ちは、大事に、大切に扱って、いつかかずさが自分を一人の人間として好いてくれたらいい、という思いと ─── 恋にどうしようもなく付随する、直接触れたい、という衝動を伴っていた。
 
 大和は、精一杯自制を保っていた。一瞬の情動に突き動かされて、かずさに嫌われるようなことがあってはならない。
 ありがとう、と嬉しそうに笑うかずさを思い浮かべるだけで、満ち足りた気持ちになれる。
 
 かずさの様子がおかしいことに気付きながらも、浮き足立っている大和にそれを深く考える余裕はなかった。
 
 最も、知ろうとしなかった大和ばかりが悪いわけではない。当のかずさは大和から「秘密」を隠そうと必死だった。
 大和とカナエが話していると生きた心地がしなかった。いい加減でいかにも口の軽そうなカナエは、面白半分で大和にしゃべってしまうかもしれない。

 何もかもを大和に知られた時のことを想像しただけで、かずさは、ベッドに潜り込みたくなる。知られれば、軽蔑され、二度と口さえきいてもらえなくなってしまう……。

 元凶のカナエは相も変わらず、大和が留守の時を狙ってかずさを捉まえ、身体に触れた。大和に知られるのを恐れるかずさは、抗う術を持たない。

 口止め料はキスだけのはずだったのが、シャツのボタンを外した手が直に侵入してきて、粟立つ肌を撫で回す。
 「手付け」のくちづけの跡が消えかかると、今度は別の場所に次から次に同じ跡を付けられた。

「んっ……」
 薄い胸をきつく吸われ、痛みに思わず目を瞑る。 おそるおそる目を開けるともうその跡は付いていて、跡を付けた張本人はかずさが身体をびくつかせる赤い突起を舌で弄っていた。

 手は、かずさのズボンの前をごそごそと探っていた。
「なあ、もお大和のことなんか諦めてオレんとこきいや」
 カナエは甘く囁く。
「けっこう優ししたってんで、これでも。最後まで無理強いしてへんし」
 
 最後、ってなんだろう、とかずさはぼんやりと考えた。
 カナエの声の調子で「オレのものンなったら、黙っといたる」と言われたことを思い出したかずさは、その二つが同じことを示しているのを感じ取る。
 
 身を捩って嫌がる素振りをみせるかずさにカナエは薄く笑った。
「大和のヤツ、翠からせしめた菓子、まいんち持って帰るんやろ。仲良うてけっこうやな。……何しとんかな? ふたりで、毎晩」
 
 かずさの抗う気持ちを殺ぐには、翠の名を出すことが一番効果的だとカナエは早い段階から気付いていた。そして、それを使うことを躊躇わない。
 
「……こうやって大和の手が翠の胸、触って。好きや、言うて。チュウもして。……お前が入り込む隙間なんか全然のうて」
「……」
 かずさの瞳に涙が溜まっていく。赤らんだ顔を俯けた拍子に、それがこぼれた。
 
 カナエは目を細めてかずさを眺めた。─── シャツの前ボタンを外され、露わになった白い滑らかな肌に幾つものくちづけの跡が目立つ。頭の中は大和と翠のことでいっぱいなのだろう、背中を廊下の壁にもたれさせてぽろぽろと涙をこぼす姿はひどく扇情的だった。
 
「大和の奴が、このこと知ったらなんて思うやろな?」
 周りの人間全てに信頼され、自分よりも、見世の跡を継ぐのに相応しいと思われている大和。
 ろくに手ェも出さんと、大事に部屋に置いといたガキ、先にツバ付けられて。
 
 く く、とカナエは喉で笑う。
 
 このまま無理やり部屋に連れ込んで乱暴するのは容易いことだったが、それは思い止まった。自分が悪者になるばかりで面白くないからだ。
 
 それに、大和は、かずさの口から直截「気持ちがない」ことを聞かされたほうが堪えると、カナエは踏んでいた。大和もカナエも妓楼で育ち、身体の関係など何ほどもない、と身に染み付いている。そうでなければ、娼妓たちを従え、管理する楼主側の人間としてやってゆけない。

 だからこそ無理強いせず、時間を掛けて、大和からかずさを取り上げようと色々施しているのに、一向に自分の手の中に落ちてくる気配はなく。
 
 焦れたカナエは、餌を撒くことにした。

「翠の写真」
 胸ポケットから一枚の写真を取り出し、かずさに裏側を向けて見せる。
「見たいやろ。大和の好きな女」

「……」
 シャツの前を掻き合わせていたかずさは、ぐすん、と洟をすすり、手の甲で涙を拭いながら見上げる。そんな子供じみた仕草を目にして少し気が差したものの、構わず、カナエはかずさの頭の上まで持ち上げたそれをひらひらと振った。
 
「べっぴんやで。見たかったら、オレん部屋おいで」
 潤んだ大きな目が、裏向きになっているであろう写真に、ひた、と吸い寄せられている。
「……翠さんの、……写真」

「そうや」
 カナエはもったいぶるようにゆっくりと、写真を元通り、胸ポケットにしまう。
 かずさの目の前に手の平を差し出した。

「おいで、……」
 胸ポケットの辺りをうろうろと見つめていたかずさの視線が、カナエの手の平の上で止まる。
 
「……」

 かずさの逡巡が手に取るように判る。翠の、大和の好きな女の顔が見たい。けれど、その手を取ったら、 ─── カナエは唇の片端を上げて笑った。
 
 気が急いて思わず身を乗り出したカナエに、かずさはびくっと怯える。しまった、と思う間もなくかずさはカナエに背を向けて駆け出し、大和の部屋に消えてしまった。

 ちッと思い切り舌打ちをして、足音も荒く大和の部屋の前にやってきたカナエはなるべく優しく、ドアを叩いた。
「かずさ。かずさちゃん。……いつでもおいで。待っとるから、な?」

 なんでこんな猫なで声出して下手に出なあかんねん、次こそホンマの本気でめちゃくちゃに泣かしたる、─── 声とは裏腹の、苛立つ思いを抱えてカナエはその場を立ち去った。
 
 
 
 
 

   

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祝!三万アクセスありがとうございます☆

 

 アクセス数が三万を超えました~、ありがとうございます!゜.+:。(*´v`*)゜.+:。

 三万ってキリがいいですよね。なんかしなくちゃ、と思ったのですが、思いつきませんでした。すいません……。

  

 昨日、小説家になろうサイト様の執筆フォームの調子が悪くて困りました。半角英字しか入力出来ない……。時々、そういうことがあります。書くのは諦めて、掃除をしました。

 初めてPCで小説を書いたのがなろうサイト様の執筆フォームだったせいか、このブログのフォームで書けません。インプリか……┐(´-`)┌

 しかも高機能執筆モードなんかじゃ書けなくて、ちっさい小窓のフォームを使ってます。書きやすいから。そこに書いて保存して、コピーしてこのブログのフォームに持ってきます。だから、なろうサイト様の執筆中小説は仮題「月が」でいっぱい。いっそこのまま投稿出来るってぐらい……。

 そんなインプリンティングが情けなくなって、ブログのフォームで書こう、と決心したこともあったのですが、改行すると勝手に一行空いてしまうのがどうしても気に入らなくて、断念。

 せめて高機能執筆モードで、と挑戦してみたんですが、やっぱり文字サイズが大きくて書きづらい。恐るべしインプリ。┐(´д`)┌ヤレヤレ

 あ、八月の小説が二、三行書いて一行空けになってるのは、ケータイで読みやすくする為です。ケータイ画面に文字がばーっと並んでるとそれだけで読む気が失せるから、となろうサイト様の「ケータイ小説の書き方マニュアル」(確かそんなだったような…(^-^;)に書いてありました。

 そのマニュアルに「二、三行(最高でも五行)書いたら、一行空けるとケータイ画面で読みやすくなる」と教えてもらったので、そうしてます。

 思えば、きみのもヘヴンも、最初の頃は一行空けてなかったな……読み手の方のことを考えて読みやすくするって大事ですよね。日々勉強です。

 と、ケータイで読んで下さる方を考慮しているにも関わらず、このブログはケータイからのアクセスをカウントしません。フリーだから……。自分のIPアドレスも除外してあるので、ほんとによそ様のPCからのアクセスしかカウントしない……。

 でも、読んでもらえるだけで嬉しいので、ケータイで読んで下さる方がいらっしゃると信じて「二、三行書いて一行空け」は続けようと思います。(*^.^*) 

 

 

帰ってきました~♪

 

 昨日の夜、無事帰ってきました(o^-^o)ふう、疲れた……色々と。

 旦那さんの実家が近いので、ディズニーランドとお台場合衆国に行きました。思ったほど暑くなくて(急に気温が下がったとのこと…)夏のお出かけにしては、ラク。

 ディズニーランドでは定番のスプラッシュマウンテンとかホーンテッドマンションとかしました。何年振りでしょうか……。変わってなかったです。^^*

 変わってたのはカリブの海賊。キャプテン・ジャック・スパロウがいた……。出口のショップで長男は海賊の剣(柔こいやつ)、次男は小さいジュエリーボックス(何入れるんだろう?)三男は宝箱型貯金箱(がっちり?)を購入。それぞれ性格出てますね。

 お台場ではネプリーグの漢字の読み仮名を入力するアトラクションと、はねトビの回転SUSIをやりました。ネプリーグのほうは送り仮名まで入力しちゃって、レベル2で終わり、回転SUSIは大トロを箸でうまく掴んで皿に乗せられました!やった!めっちゃ嬉しい……こんなに嬉しいものか\(^o^)/割り箸もらいました。(*^-^)ぬるま湯温泉の素とか女郎グモのにんにくチップスとかはんにゃまキャラメルとかをお土産に買いました。

 そして、旦那さんの実家に近い、八月の実家にも二泊しました。普段暮らしているところが遠いのと、嫁いだ身なので、遊びに行ってもあんまり泊まらないのですが、妹ちゃん(八月の実妹)の厚意で泊まらせてもらいました。ありがとう!しかしあまり気を遣わないように。姉はこの通り気楽にやっているので。( ̄ー ̄)ニヤリ

 でもこう書いていても、妹ちゃんは八月がブログをやっていることを知りません。友達はおろか、身内でさえも知らないこのブログ……。「口コミで宣伝してアクセス数UP」とか言うけど、自分が八月金魚と知れるくらいなら一生黙っています。(  ̄^ ̄)ゞラジャ

 そんなこんなで楽しい一週間でした。この一週間で夏休み分遊び切ったカンジ……。

 あッ、次話頑張ります!

 

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