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月が見ている。14

 

 R-18BL小説です。18歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

 

 第十四話

 

  
 ぐったりとしたかずさの身体を横向きにし、手首の戒めを解く。そこにわだかまっていた浴衣がするりと脱げた。
 月明かりに鬱血の痕を目にした大和をひどい後悔が襲った。

「……すまんかった」
「……俺、……やまと……」
「判っとる。……言わんでええ」

 声を掠れさせながら必死に弁解しようとするかずさを大和は遮る。身体を触らせたり、口付けを許したりはしたかもしれないが、一線を越えることをかずさは拒んだ。
 それを思い知り、大和は嫉妬に駆られた自分の行動を悔やんだ。

「……さっき、……や…やらせろって……カナエさんが……でも、俺、嫌で……怖くて……他のこと、なんでもするから、い……言わないでって……大和に嫌われたくなかっ……」
 乱暴されかけた衝撃からか、かずさの取り留めのない言葉と涙は止まらず、横向きのまま顔を手で覆った。
 
「……判った。判ったて……俺が悪かった。泣きなや」
 かずさの背中から手を伸ばす。細い手を取り、手首の痕に唇で触れた。
「……大和」
 
「……頭に血ィ昇って見境いのうなってもうた。……あきれたやろ。ほんまは、ものすごい嫉妬深いねん、……ほんまにヤっとったらカナエのヤツ、半殺しや」
 
 最後を低く囁きながら、大和はかずさの身体を夏掛けでくるむ。その上からそっと抱きしめた。

「……」
 大和の体温が薄い生地を通して伝わってくる。かずさはすぐそばで自分を見つめる大和をぼんやりと見上げた。

 かずさの視線を受け止めて、大和は困ったように眉尻を下げた。 
「─── 好きや、て言うたつもりやねんけど、俺」
「え……?」
「お前が好きや。……他の男に触らしたて聞いただけで嫉妬で気ィ狂うくらい」

 大和の告白を聞いたかずさの目は、信じられないとばかりに何度も瞬く。
「でも……翠さんが、好きって……」
「翠は幼馴染みやねん。……昔、ちょっと惚れとったかな。でもあっさり振られた。……お前と一緒に暮らし始めてから、全然ちゃうな、と思った」

「み……翠さんと……? 俺、翠さんに似てたら、良かった……?」
「ちゃう。お前と翠が、やのうて、……俺の気持ちが、や」
 大和はかずさの額にそっと唇を押し付けた。

「……お前のこと、大事でたまらん。アホみたいにお前のことばっかり考えとって、……女将さんもぎゅうの繁次さんもな、俺が変わった言わはるんやで。顔つき優しなったて、なんや大事なもんでもこさえたんか、て。姐さん方も、ええ子によろしゅう、なんて冷やかすしな、……翠に惚れとったときとは全然違うて、自分で判るんや」

 大和は愛しくてたまらないと言うかのようにかずさの瞼に唇で触れ、涙を吸い取った。
 
「あいつに惚れとった時はな、悲しいて、辛うてな、……客、たらすんが商売やろ。一緒に逃げへんか、て子供考えで言うたこともあったけど、ここ出てどないするん、野垂れ死ぬだけやで、言われてな……翠の方がずっと大人やった。ハラ括っとった」

 夏掛けからそっと出されたかずさの片手が、大和の片頬を包み込む。華奢な柔らかい手の平に古い心の傷を撫でられ、癒されているような気がして大和は微笑んだ。
 
「それで諦めた。見世裏切れへんし、惚れとっても辛いだけやし……」
「……苦し、かった……? 大和……」
「─── ああ。そん時はなあ」
 
 ずっと一緒に育ってきたカナエでさえ、禁じられているが故に隠していたこの恋は知らないだろう。決して誰にも言うはずのなかった昔の想いを、痛手を負ったもののすっかり塞がっていた傷口を、大和は労るように反芻する。
 翠に対する気持ちは、多分 ───。

 困ったように見上げ、頬に片手を添えたままのかずさのその手に大和は自分の手を重ね合わせる。
「……同情、やったかもしれん、て今は思う」
「同情……?」

 「身体売るしかない幼馴染みに、同情しとったのかもしれん。翠の方が大人やったから、多分気ィ付いとった……。そんで、逃げへん、言うたと思う。……ほんまに心底惚れとったら後先考えずで無理やりあいつと逃げとったわ、……惚れたヤツ、ほかの男に触られるん我慢できんて今、思い知った」
 
 大和はかずさの身体をきつく抱きしめた。
「お前が好きや、かずさ。惚れとる。どうしたらいいか、判れへん」
「大和、……」
 
 俺も、好き、と小さく囁いたかずさの唇は、大和の唇に塞がれた。

 

 

 
 

「んっ……」
 胸の突起を摘んで優しく弄るとすうっとかずさの身体が桜色に染まる。手を滑らせ、滴の滲んだものを包みこむ。身を捩らせる仕草に大和は喉を鳴らした。
「……カナエに、触らしたんか? ココ」

「やあ……っ、やまと……」
「言うたやろ。俺は嫉妬深いんや、……教え」
 大和の手がかずさのものを執拗に弄る。昂り、欲情を示すそれが恥ずかしくて、かずさは顔を真っ赤にした。

「……大和、大和……っもうやめて、……」
 拒む言葉とは裏腹の甘く掠れる声に、大和はうっすらと笑みを浮かべた。

 ─── 夏掛けをそっと取り払うと、かずさはうつ伏せて身体を隠そうとした。細いその身体を大和は背中から抱きしめ、手の平を、指を這わせる。
 敏感な反応を見せるかずさが愛しくてならない。大和は先ほどの乱暴を取り繕うとするかのように精一杯の思いやりを込めて、かずさの身体を愛撫した。

 かずさは頭をいやいやするように横に振る。大和に抱きしめられていると思うだけでどうかしてしまいそうなのに、その大きな手は優しく、気遣うように触れてくる。反応してしまうはしたない身体が恥ずかしくて、止めてくれるように頼んでも大和は自分を離してはくれない。

 それどころか、より一層熱心にその手が動き出した。
 声を我慢しようとするかずさを許さぬように、大和は肉の薄い華奢な背中に唇を這わせる。
「……っあ、んっ……んっ……」

 堪えきれず、甘ったれた声を漏らしてしまう。ぼんやりとした頭に、大和にどう思われているのかだけが気掛かりで目が潤んでくる。
「……カナエにされたこと教えたら、気持ち良うしたる。言いや」
 
「……」
 もう今だって充分すぎるほど気持ちいい。それでも大和の甘く囁く声に抗えなかった。
「……さわ……カ、ナエさんに……触られ……」
「─── 気持ち良うしてもろたんか」

 穏やかな大和の声の奥に氷のような冷たさがある。かずさは首を横に振った。
「ちが……気持ち、良く、なかった……俺……イヤで……やめてって……」
「イったんか」
「……」
 
 カナエに無理やり教えられるまでかずさはその言葉の意味を知らず、けれど、もう知っていて ─── アレのことだ、と判ったかずさは仕方なく頷いた。本当のことだった。

 大和は強くかずさを抱きしめた。
 心の中に燻る嫉妬が抑えきれない。かずさを仰向けにし、圧し掛かりながら口付ける。
 
 首筋から徐々に下に降りていった大和の唇が、割り開かれたかずさの細い足の間に辿り着き、上を向いたそれを包み込んだ。

「……やっ……やだあ……っ大和……」
 生温かい口内に引き込まれた感覚は凄まじく、かずさは自分がどうなってしまうか判らない不安に襲われた。力の入らない手で大和の髪の毛を弄り、抗う。
「やめて、大和っ……こわ……怖いよ……」
 
「……カナエにもさしたったんやろ、コレ」
 かずさは勢い良く頭を横に振った。
「……されてないっ……手……手、だけ……本当……カナエさん、笑って……俺のこと、ヤラしい、って……大和もきっと、わら……笑うから……俺……ヤラしい、から……」

 その瞳に涙を滲ませながら大和から逃れようとする。
「……お願いっ……くちでするの、やめて……」
「─── 笑ったりせえへん。お前が気持ちええとこ、見たい」
 
 閉じようとするかずさの脚を押し開いて再び口に含んだ。かずさの唇から微かに漏れる堪えきれない声や、震える華奢な膝頭を手の平に感じて、大和は愉悦に浸る。
「可愛え、……」

 口から離して、目に涙を溜めたかずさの顔を近々と覗き込んだ。
 真っ黒な癖のない髪の毛に指を差し入れて梳きながら、ちゅ、ちゅ、と唇を合わせ、時折、気紛れのように舌を奥深くに侵入させる。 
 
「……あっ、ん……っん、や……」 
 小さな唇から洩れる意味の取れない言葉を、大和はことごとく吸い取っていく。かずさの薄い舌を絡めとって蹂躙し、頬の裏側や歯列をなぞった。
 
 そうしながら、滴を溢れさせているかずさのものを手の平で包み込む。
 涙で霞み、ぼんやりとしていたかずさの焦点の合わない目が見開かれる。
「あ……っ、や、だめ、大和……っ」

 恥ずかしかった。唇と舌で追い詰められたそこはもう限界で、触れられただけで達してしまいそうで ───。
 柔らかく揉み解しながら、大和はかずさに囁く。

「……カナエに触られるんと、どっちがええ?」
 耳朶まで赤く染めて、かずさは目を潤ませた。……絶対に、大和は、判ってる。

「なあ、教え」
 判ってるくせに、甘い声で答えを促す。
 観念してかずさは目を閉じた。

「……大和、……大和がいいっ……」
 大和の首にしがみ付く。大和じゃなきゃやだ、と切ない声を耳に甘く聞いた大和は満足げな笑みを浮かべて、かずさのこめかみに唇を落とした。

 
 
 
 
 *ぎゅう・・・妓夫太郎(ぎゆうたろう)=牛太郎でぎゅう。見世の用心棒のことです。
 
 
 
        
   

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コメント

つ、ついに!思いが伝わった~。・゚・(ノД`)・゚・。
良かったねえ、かずさと大和o(*^▽^*)o
おばちゃん嬉しいわ♪♪

自分は甘々な内容をあまり書かないくせに、やっぱり甘々はええなあ~と思います(´-∀-`;) 書かない分、そういう内容に飢えてるのかも……。

金魚さんのR指定は品が良いので、いくらでも読めちゃいます(*゚∀゚*)オイ!
もっと甘々な大和とかずさも見たい……(ノ∀\*)キャ
あっ、カナエがちょっと心配。

また寄せて頂きますね~♪
 
 ≫コメントありがとうございます♪
 甘々なことになってしまってスイマセン(@Д@;というカンジです…品、いいですか?ラブラブ過ぎて引かれてませんか~?(´;ω;`)ウウ・・・
 またもや読み返すのに相当な覚悟の要るお話を創ってしまったな、ふっ…、とちょっと遠くを見てみたりするわけです┐(´д`)┌
 
 ところでカナエさんの受難はこれからが本番です。(・_・)エッ(これ以上?)
 と言いながら、次で最終話なんですが^^;よろしくお願いしますm(_ _)m
 
 

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