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in heaven on a certain night:第二話

 

R-18BL小説です。18歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

 

 シックなダークグレイのスーツの胸に自分の恋人を抱きとめたヘヴンズブルーのオーナーは、険しく寄せられた眉根を緩めて穏やかな表情を浮かべた。
「ただいま。……カウンターで待ってるはずだろう?」
 
 幾分低められた声の裏にはイライラとした紛れもない嫉妬の感情が滲んでいたが、当の恋人は気付かず、首を傾げるようにして和臣を見上げる。
「うん。でもねー、ハルがカレシ連れてきたからちょっと話したくて」
「ハル? 彼氏?……ああ」
 
「……お久しぶりです」
「なんだよ、オレらのことは眼中なし?」
 含みがあるような小声で挨拶しながら軽く頭を下げる柚月の隣で、相も変わらずずけずけとした物言いのハルが呆れていた。

「ナオが、レイとイチャついてたから他のこと目に入んなかったんだろ」
「うるさい。とっとと帰って愛でも深めてろ」
「なんっだよそれ、客に対して言うセリフー!? オレに八つ当たりすんのやめろよなっ、束縛オヤジ!」
 頬を火照らせたハルの抗議などものともせず、和臣は涼しい顔をしているレイを睨めつけた。
 
「─── ナオの退屈しのぎに付き合わせて悪かったな」
「いいえ、とんでもない。それに退屈じゃなかったみたいですよ、ナオさん。楽しそうでしたから」
「いやいや。ただの暇潰しだ。俺が待たせるようなことをしたばっかりに」
「へー。ナオさん、オーナーのこと待ってたんですか? 楽しそうだったからすっかり忘れてるんだと思いました」
 
 二人の背後に竜虎が控え、その視線の間には火花が散っている。そんな幻が視えるのは自分だけだろうか、とハルは思う。会話を翻訳すれば「テメーなにヒトのもんに手ェ出してんだコラ」「ああん? テメーがほったらかしたんだろうが。さっさと別れろ」……ああ、殺伐としていて聞くに堪えない。
 
 目を覆い、耳を塞ぎたくなっているハルの横ではナオがほのぼのと笑っていた。 
「オーナーとレイって結構仲良しだよねえ」
 どこが? ねえ一体どこが? と詰め寄りたいハルだったが、あまりにも邪気の無いナオの笑顔に腰砕けになる。そう、ナオは何ひとつ悪くないのだ……。
 
「なあ、……成沢さんの機嫌がものすごく悪いような気がするのは俺の気のせいか……?」
 どうやら柚月も会話の和やかさとは裏腹の険悪な雰囲気に気付いたらしい。良かった、竜虎と火花を幻視してるのはオレだけじゃない、とハルは頭を横に振る。
「気のせいじゃないよ、柚月さん……」
 
 レイ、ナオに気があるんだよ、と柚月に小さく耳打ちする。
「年下の友達の立場キープしてナオに言い寄ろうとしてるんだ。本気で落とそうとしてるわけじゃないかも知んないけどさ、成沢さん、ちょっかい出されて面白くないんだよ。……ナオが気が付いてないのがまた始末悪くてさあ」
「あッ、まーたナイショ話ー。ほんとに仲良しだねー」
 
 暢気に冷やかすナオにレイが近づき、堂々と口説く。
「ナオさん、ドリンク何がいいですか? 俺、取ってきます」
「いいよー、悪いから、……そうだ、この前オゴってもらったよね? 今度は僕がオゴるね、何がいい?」
 
「じゃあ、ヘヴンじゃなくて外でオゴって欲しいんですけど、……ダメですか?」
「え、あんま高いのはムリだよ? フレンチのフルコースとか言われてもー」
「缶コーヒー。俺の家のそばにある自販機の」
 
「あはははっ、面白いねー、それ。いいよ」
「いいわけあるかっ!」
 あっさりレイの家に連れ込まれそうになっているナオに慌てて、和臣が割り込む。
 
「ヘヴンの外で俺以外の奴と会うのは禁止する!」
「……うわー、聞いた? 超ソクバッキーのオレ様発言、怖えー」
「……気持ちは判らなくもないけど、いくらなんでも禁止はちょっとないな」
 
「やかましい、外野は黙ってろ!」
 こそこそと話すハルと柚月を睨みつけた和臣は、その目をナオに向けて手招きした。頬を引きつらせて無理やり笑みを浮かべる。

「……間違ってもレイにオゴらせたりするなって、約束したろう?」
「うん。今日はオゴってもらったりしてないよ。僕がオゴるんだもん」
 ねー、とナオはレイを振り返る。はにかんだような笑みを見せながら、レイは頷いた。
 
「ドリンク一杯でナオさんがうちに来てくれるんなら安いもんです」
「……ほらみろあんなこと言ってる! 缶コーヒーより家に連れ込むことがメインになってる、おかしいだろうっ!?」
 
 ドリンク代身体で払えって押し倒されてからじゃ遅いんだぞ、と和臣は小さく口走る。ナオは、はあ、とため息を吐いた。
「まーたそんなこと言って、……レイみたいにキレイな顔したコが僕みたいの、相手にするわけないでしょ。僕よりずーっとキレイなんだから、……どうして僕のことも、レイのことも、信用してくれないの?」
 口を尖らせて、不満そうな視線を向ける。
 
 ひとのいない間にひとのものに触りまくるような奴を、そしてそいつにほいほい付いて行こうとしてるお前を、どうして信用出来るんだっ、と言いかけた和臣をいつの間にか近づいてきたレイが遮った。
「まあまあ。……オーナーはナオさんのこと心配してるんですよ。俺にぺろっと食べられちゃうんじゃないかって」
 
「あははっ、そんなことあるわけないのにねー」
「ねー」
 和やかなムードが醸し出される。……自分で食うとか本音を暴露しといて人畜無害を装う厚顔さ、さすがにオーナー相手に一歩も引かないだけはあるよなー、とハルは畏怖を込めてナオに微笑みかけるレイを見つめた。
 
 ちょっとした軽い冗談、という扱いになりつつあるレイの下心を追求するわけにもいかず、和臣は押し黙った。
 そんなヘヴンのオーナーを横目に見て、レイは何事かをナオに囁く。頬を染めてレイを見上げるナオに和臣は渋面を作った。
 
 ─── 嫉妬や独占欲をこれ以上剥き出しにしては、ナオに逃げられてしまうかもしれない。ここはひとつ、大人の対応で寛容なところを見せなければ。
 そう思い、「何話したんだ」と詰め寄りたいのを堪えていた和臣に、レイはすっと近づいて来て言った。
 
「……今夜みたいにひとりにしとくんなら、次は缶コーヒーと一緒にありがたくナオさん自身をゴチになりますから」
「なっ……」
 不穏な言葉を耳にして、和臣はまじまじとレイを見る。
 
「オゴってって言ったら、簡単に俺んちまで来てくれそーだし。……ナオさん手放したらいつでも俺が食っちゃいますよ?」
 くす、と綺麗な顔で笑うレイに和臣は絶句した。─── こんな。こんな、美形ってだけのケダモノのよーな奴になんでナオはなついてるんだ!?
 
「絶対、泣かさないで下さいね」
「……ナオと何話した。─── こっそり呼び出そうなんて考えてんじゃ」
「秘密です」
 思わず詰め寄った和臣にきっぱりと告げたレイは、蕩けるような笑みをナオに向けた。
 
「……それじゃ、ナオさん、また今度」
「うん。じゃーねー」
 にこにこと笑って手を振るナオにレイは軽く頭を下げる。如才なくハルと柚月にも会釈をしてカウンターに向かっていった。
 
「……何話したんだ」
 レイに煽られ、我慢できなくなって低く問う和臣をナオは少し赤らんだ顔で見上げた。
「内緒」
 
 そんなナオの様子に、みるみるうちに眉間に皺を寄せたヘヴンのオーナーを目の当たりにして、顔を見合わせたハルと柚月は「もう関わるのはやめよう」と互いの意思を確認しあった……。
 
 
                           
            
            
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 ナオの両手首にくるくるとネクタイを巻きつける。首を傾げたナオはぼんやりと酔った眼差しをそれへ向けた。
「……なにしてるの? 臣さん」
 あどけない声。自分の置かれている状況が今ひとつ判っていないようだった。
 
 和臣の部屋、キングサイズのベッドの上。もう寝るばかりにTシャツとパジャマでそこに座り込んでいたナオは、やはり同じように寝巻き代わりのスウェットでベッドに上がりこんできた和臣が無言で、胸の前で合わせた自分の両手首を儀式のようにネクタイで縛るのをじっと見つめた。
 
 一回巻いて結わえ、もう一巻きして二度結ぶ。合わせた手首の間に通して、きっちりと結んだ。
「……ねえ、アルマーニ、しわくちゃになって使えなくなっちゃうよ?……」
 悠長にネクタイの心配をしている。ナオは手首を捻って、全然解けないんだね、コレ、と朗らかに言った。
 
 ネクタイの端を掴んで引っ張る。自分の胸に転がり込んできたナオを和臣は抱きとめ、キスをした。
 たやすく舌を侵入させて歯列を割り、強引に中を掻き混ぜて甘い舌を追い回す。息苦しさで顔を背けたナオをころりとベッドに押し倒した。

 Tシャツの裾から手を侵入させて、滑らかな肌を味わう。ナオは戒められた両手を頭の上に上げた無防備な姿勢でされるがままだ。Tシャツを捲り上げて胸の突起を唇と舌で弄りながら、下着ごとパジャマのズボンを脱がせた。
 
「……あ……っ」
 性急な和臣の仕草にナオは身を捩る。膝を折ろうとしたナオの足首を掴んで開かせ、その間に身体を進めた和臣は、胸からなめらかな腹部、腰骨まで撫で回し、唇を這わせた。
「あっ……ん、や、……あ……っ」
 
 一方的な愛撫。自由の利かない両手や一言も口を利かない和臣の貪るような手付きと唇に、ナオは乱暴されているような錯誤を覚える。それでも、自分の身体を知り尽くしている和臣の手管の前に為す術もなく、あえかな声が洩れてしまう。
 
 冷静にことを進めているといった和臣の態度に、自分だけが追い詰められているような気がして、ナオは縛られた両手で自分の口を塞いだ。
 気付いた和臣は、ナオの唇から両手を引き剥がした。
「……やだっ、臣さん、イヤ、……これ解いて……」
 
 懇願するナオに和臣は目を眇める。─── ネクタイの端の長い方をベッドヘッドのパイプに結んだ。
「……臣さん……っ」
 すぐに、ナオの唇は和臣の唇に塞がれた。乱暴に入り込んでくる和臣の舌に掻き混ぜられ、混ざった唾液を無理やり飲まされる。
 
 むしり取るように脱がされたTシャツが頭上に括りつけられた両手にわだかまる。抗うことも出来ず、膝を立てるように押し開かれたナオの両足の内側を、その中心を、和臣の舌が這い、吸い上げた。
「……んん……っあ……っん、……ひ、ぅ……や…あ……っ」
 
 たっぷりと濡らした指をナオの中に埋めて、蠢かす。泣くようなナオの甘い声を、和臣は愛しく聞いた。
 

 

     

      目次第三話
  

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