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in heaven on a certain night:第三話

 

R-18BL小説です。18歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

  

 脱ぎ捨てられた二人分の服が、ベッドの下でシェードランプの灯りに晒されている。質のいい、広いベッドが軋むことはほとんどないが、その分、シーツの擦れる音や止める術もなく漏れる自分のあえかな声は室内に響き、ナオの羞恥を煽った。
 
「……あ……ッあ…んっ、や……あ、」
 手の自由は利かず、開かれた膝は押さえつけられている。身動きの取れないナオのその細い身体に散る所有のあかしは和臣の独占欲を満たしたが、まだ足らず、ナオを追い詰め、泣かせていた。
 
「……っどう、して……こんなこと、するの……?」
 瞑ったナオの目から涙がこぼれる。和臣はナオの問いに答えず、目尻に舌を這わせ、それを吸い取った。
 
 欲情を示しているナオのものを弄っていた和臣の手が、すっと下げられ、奥のすぼみにその指先を埋める。
「やあ……っん……っ」
 そうされるのは何度目かで、和臣はナオの熱を煽るだけ煽って指と舌を引っ込めるということを繰り返していた。
 
 すでにもう解されたそこはやすやすと和臣の指を飲み込む。わざと指を動かさずにいると、ナオは腰をもぞもぞとさせて和臣に頬をすり寄せた。和臣は応えるような素振りでナオの小さな唇に舌を這わせる。
 
 はっ、はっと浅い呼吸を繰り返しながら、ナオは自分の唇を舐める和臣の舌先を口に含んだ。厚みのある和臣の舌に自分の舌を絡ませ、一生懸命、愛撫する。奉仕を思わせるキスが愛しく、突き上げられる情欲に任せて和臣はナオの口腔内を舌で犯し、体内に納めたままだった指を動かした。
 
 おねがい、イかせて、とほんの少し唇が離れた隙にナオの涙声が訴える。和臣は無言でナオの脚を抱え上げ、開かせたそこに張り詰めた自分のものを押し当てた。

 貫かれる衝撃を予想してナオは身体の力を抜く。本当は異物を受け入れる恐怖で ─── ただでさえ、両手を頭上で繋がれ、抗うことは許されていないという怯えで竦みそうな身体を、相手が和臣だから、と言い聞かせ、目を閉じてその瞬間を待った。

 ─── 案に相違して、和臣はその姿勢のまま留まっている。
「……ナオ」
 静かに降ってきた和臣の声にナオはゆっくりと目を開けた。目の前の至近距離に浅黒い、野性味のある端正な愛しいひとの顔。いつもは上げている前髪が額に降りかかってひどく色気がある。
 
 欲情に霞んだ和臣の目は中に挿れたくてたまらない、と訴えていたが、それをなぜ我慢しているのか判らず、ナオは黙ってため息にも似た息を漏らした。自分は抵抗したくても出来ないように両手を括られているし、元々、抗うつもりなどこれっぽっちもないのに……。

「……あいつと何話してた。正直に言え。……言えないようなことなら、このまま無理やり犯して俺ものだと思い知らせる」
 決定事項を告げるように淡々と低い声が言う。ナオは潤んだ目をゆっくりと瞬かせた。─── あいつってレイ? まさかそんなこと気にして?
 
 今にもこじ開けられそうにぐいと押し付けられる。その感覚にナオは身体をずり上がらせた。
「……あッ、あ、やあ、……」
「言うか?」
 こくこくと何度もナオは頷いて、顔を真っ赤にした。
 
「……が、臣さんのことしか見てないって」
「あ?」
「僕が臣さんのことしか、見てないってっ……それなのに臣さんが、嫉妬してるって」
 
『すごいヤキモチ焼きですね、オーナー。ナオさん、オーナーのことしか見てないのに』
 
「……冷やかされて、は、恥ずかしかった、から、黙ってた、だけっ……僕が、臣さんのこと、すごく、……好き、って、バレて、レイには、バレてるから、……でも、僕がすごく、すごく、臣さんのこと好きだって、臣さんしか見えないくらい好きだって、臣さんに知られたら、恥ずかしいから、だから」
 
 ……俺はそんな他愛のないことに振り回されて、ナオを泣かせたのか ───?
 脱力した和臣はレイの美しい笑顔を恨みがましく思い出す。─── やられた。嫉妬に駆られた自分が、ナオをひどい目に合わせることを計算しての「秘密」か。
 
 耳まで赤くしたナオは、隠していた気持ちを吐き出して抑えが効かなくなったのか、ぽろぽろと涙をこぼして泣きじゃくる。酔いも手伝い、ますます感情を吐露した。
「……臣さんに、こんな風に、されても、好き、……だいすき……」
 
 ─── さすがにこれは計算外だったろう。滅多に「好き」と口に出さないナオのその言葉に、一瞬虚を突かれた和臣は脳裏に浮かんでいたレイをフンと鼻で笑い飛ばし、消した。
(ナオは、俺にこんなことされても、大好き、だとさ。ザマーミロ)
 
 唇の片端を上げ、余裕のある笑みを浮かべた和臣は、手際よくナオの手首を戒めていたネクタイを解く。そこにわだかまっていたTシャツを抜きながら、キスをした。
 ナオが和臣の首にしがみついてくる。抱き合って何度もキスを繰り返すとナオは息を上げ、その緩んだ手が乱れたシーツの上に落ちた。

 赤く擦れた手首の無残な痕に、和臣は唇で触れる。
「……痛かったか」
「う……ん、……腕も、肩も……しびれて、痛……あ……っ、ダメ……」
 手首を持ち上げ、傷痕を癒すように和臣の舌が一周する。もう片手の傷も丹念に舐められ、ナオは這い上がってくる官能に背筋をぞくりとさせた。
 
 気付いた和臣は痕に唇をつけながらナオの上気した顔を横目で見て、囁く。
「……エロ顔。何考えてる?」
 
 明らかに自分より何もかも勝っている ─── 権力でも物理的な力でも上位の男が、自分に許しを乞うように傷痕に優しく舌で触れてくる。
 そのことは信じられないほどナオに力の意識を覚えさせ、官能を増幅させた。
 
「……き、ず、触らないで……っそんなこと、しなくていいっ……」
「縛られるのがイイならまたしてやる。……今度は後ろ手で」
「やだ……っ」
 にやりと笑った和臣は悲鳴じみた拒む言葉を聞き流し、ますますナオを泣かせるべく自分自身を行使した。
 
 
 
 
 
      .。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。.
 
 
 
 
 
「……うそつき……」
「ん? なにが」
「言えないようなことなら思い知らせる、って、……言っても、思い知らせた」
 
 ベッドの上で夏掛けの薄い羽毛布団に身体をくるんだナオは、隣で半身を起こしている和臣を泣きそうに潤んだ目で見上げた。
「ウソツキ、こんな、何回も、……無理やり」
  
「無理やりじゃない」
 心外だ、と言わんばかりの声音で言って和臣はナイトテーブルの上の煙草の箱に手を伸ばし、一本抜き取る。口に咥えて凝った意匠のライターで火を点けた。
 
「シテ、挿れて、ってねだったのお前だろう」
「だッ、だって、……臣さんが、あんな」
 とても口に出来ず、ナオは恥ずかしさと悔しさが入り混じって頬に血を昇らせる。

 ナオのそんな表情を目にすることが出来るのは自分だけだ、と和臣は煙草を咥えたまま、優越感から笑みを浮かべた。─── 明るく朗らかで無邪気なナオの、ねだるエロ声もそれが悔しくて詰る表情も、もっと言えばしどけなく開いた身体も心も、全て自分のものだ。
 
(誰にもやらない。許さん)
 和臣がにやにやと笑いながら見下ろすと、ナオは夏掛けの中に赤くなった顔を隠してしまった。拗ねたようなナオの仕草にさすがに気が差して、和臣は中を覗き込む。
「おい、……元はと言えばお前があいつと楽しそうにイチャついてるからだろうが」
 
「……イチャついてないもん。ハルとカレシが仲良しで、僕はあぶれちゃったからレイと遊んでただけだもん」
「カウンターで牧田と遊んでろ。……あいつは遊び相手にはならねえ」
 この俺を挑発しやがった、と和臣は胸の内でごちる。─── ナオを手放し、泣かせたら、速攻で頂くとレイは綺麗な笑顔で釘を刺してくれた。
 
 ナオよりも年下の、しかし一筋縄ではいかず扱い辛いあの美形は、片手で追い払えない相手だ。理由もなく ─── いや、ナオに色目を使うという立派な理由があるが ─── さすがにそんな理由で出入り禁止にするわけにもいかない。なにより、ナオが気に入っている。
 
「あいつってレイ? どうしてそんな言い方するかなー。レイは礼儀正しい弟みたいなもんだよ。それに美人だし」
 和臣は、ちッと舌打ちをした。─── ほらみろ。俺が悪く言えば言うほど、ナオはあのガキを庇う。
 
 全くもって面白くない、と和臣は苛立ちを込めて、煙草を灰皿に押し付けた。
「……その、お行儀が良くて可愛い弟にいきなり押し倒されたりしたら、どうするんだ? もちろん、指一本触らせない自信があるんだろうな」
 
「レイはそんなことしないようー」
 徐々に機嫌が直ってきたのか、夏掛けからひょこっと頭を出したナオは腹這いになり、和臣を見上げた。
「何度も言ってるでしょ。レイとはチュウもしたことないんだよ。そんな雰囲気になったこともないし」
 
 それに臣さんは知らないけど、とナオは心の中で思い出す。
(……臣さんとダメかも、ってなった時、相談に乗ってくれたんだから)
 和臣に嫌われてしまった、と思ったあの時、レイは「欲しいものは欲しいと言っていい」と背中を押してくれた。自分と和臣のことを応援してくれたのだ。
 
(レイが僕のこと、ほんの少しでもそういう目で見てたら応援してくれるはずないもんね)
 レイのように恋愛慣れしていそうな美形にしてみれば、自分はどうにもやり方が拙い、何かと手伝わずにはいられない存在なのだろう。
 
 どうしたらいいか判らなくなって二つも年下の彼に弱音を吐いたにも拘らず、そんな自分にレイは今でも相変わらず礼儀正しく、気を遣わせないように接してくれる。
(レイは、大人だな。レイに好きなひと出来たら今度は僕が応援してあげようっと)
 ナオは、「自分の恋愛に尽力してくれたレイ」に全幅の信頼を置くようになっていた……。
 

 

     

     目次第四話

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