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in heaven on a certain night:最終話

  

R-18BL小説です。18歳未満の方、BLに嫌悪感を持たれる方はご遠慮下さい

 

「……臣に会えて嬉しかった、って言ったらどうする……?」
 途端に ───。
 柚月の肩に担ぎ上げられた。足が浮き、くるりと回ったハルの視界は柚月の背中から踵、さらにフローリングの床を捉える。

「やあッ……柚月さんっ!?」
 ハルの抗議の声とばたつかせる足をものともせず、柚月は廊下を進んで行く。リビングダイニングを突っ切り、自分の部屋のベッドにハルを乱暴に下ろした。

「……許さない」
 圧し掛かった柚月は細いハルの手首をベッドに縫いとめる。酔いがまわり、目縁を赤くした柚月は、焦点の合わないその目でハルの瞳を覗き込んだ。
 
 酔ってなければ、あるいは和臣と会った直後でなければ、燻るだけで消えたはずの暗い炎が胸に拡がる。
 自分よりも前にハルと出会い、共に暮らし、身体を重ねた和臣は今でも、ハルの心の中で特別な存在なのではないか、と疑ってしまう。
 
 それでも、ハルが自分の嫉妬を煽ろうとして「臣」と呼んだのだ、と。
 そう思いたくて、思えず、柚月は理性を手放した。
 
 ほとんど灯りのない中、ハルの服を剥ぎ取っていく。その手付きは乱暴で、いつも優しく「嫌ならしない」とハルにセックスの優位性を与えてくれる柚月とは別人のようだった。
 
「っあ、あっあっあっ……!」
 うつ伏せにされたハルは、受け入れるべくそこを、指で、舌で解される。くちゅくちゅと音が耳に響く。
 唐突に、サイドテーブルに留められたクリップライトが点いた。

 何も言わず、片方の指をハルの中に埋めたまま、柚月が灯りを点けたのだ。柚月の目に晒される恥ずかしさで、熱を帯びていたハルの身体がさらに火照った。
「や、ゆづ……柚月さん、やだ、はずかし……っ消して、灯り、やあ……っ」

「……駄目だ」
 全部、見たい。耳元で囁く柚月に、目を潤ませたハルは真っ赤になった顔をシーツに押し付けて隠した。
「……顔、見せて」

「い、やっ……恥ずかしい、から……っ」
 くぐもるハルの声が拒絶する。シーツを掴んだハルの手の甲にキスを落としながら、柚月はハルの中に埋めた指をゆっくり動かした。

「あッ、やあ……っダメ、柚月さんっ……あ、んっ…あ、あ、あ……っ」
 泣くようなハルの声で、その場所が間違っていないことを柚月は知る。もっと、もっと、と乞う内に本当にハルを泣かせてしまった。  
 
「……っふ、……ひっく……っ」
 シーツに顔を押し付けたままハルは涙をこぼしていた。背中じゅうに柚月の口付けの跡が散り、上げられた下半身には柚月の指が埋まったままだ。またほんの少し指を動かしてハルを泣かせた後、抗えなくなった華奢な身体を仰向けにした。

「………」
「……柚月さ、ん……あっ、あ!」
 決して無理やりでなく、柚月が押し入ってくる。熱い。唇を柚月の唇で塞がれ、ハルは自分でも訳の判らない声を上げなくて済んだ。

「あのひとに、会いたかった、なんて……言うな……聞きたくないんだ。……でなきゃ、二度と、外へ出さない。監禁する、……」
 押し殺した柚月の声音が哀しそうに聞こえた。
 
 いつも優しいばかりの柚月の心の奥に、自分に対する激しい情熱を見て、ハルは驚きに目を見張る。
  
 言葉の乱暴さとは裏腹に、柚月はハルを気遣うように動かずじっとしていて ─── そのおかげで囁く声が聞き取れた。
「……俺は、お前だけだから……」
「え……?」
 
「……お前も俺だけだって言ってくれ……頼むから、今だけ……嘘でもいいから……」
「───……」
 ハルは涙の浮かんだ目で柚月を見つめた。─── 俺だけだと言って欲しい、と柚月が望んでいる。

 それが柚月の本心。
 
 自分が拒めば、柚月は決してそれ以上は無理強いしない。お前がしたくなかったらしなくていい、と鷹揚さを見せる ─── そんな柚月が、ハルは不安でたまらなかった。
  
 求められていないのではないか、と。触れたがっているのは自分だけで、柚月はべつだん、触れたくないのかもしれない、と。
(違ってた)
 柚月が中にいる。自分の心も欲しがってくれている。
 
(ちゃんと判ってた。柚月さんはいつだって優しくて、オレのこと、大事に)
 それでも、全ての不安が消えたわけではないけれど ───。
 
「……柚月さん、だけだよ……」
「ミハル、……」
「……ウソじゃない……ほんと……柚月さんだけ……だいすき……」

 柚月を挑発したことを、ハルは後悔する。

 ─── 嫉妬して欲しくて、柚月の気持ちが欲しくて、柚月を怒らせ、傷つけた。
 
「も……言わない……成沢さんのこと、言わない……柚月さんだけ、好き……」
 うわ言のように「柚月さんだけ」と言い続けるハル。その上気した頬に、額に、柚月は唇で触れた。 手を重ね合わせて指を絡める。
 
「……ごめん……無理やり、こんな……ごめんな……?」
「んっ……あ……っ」
 ハルの言葉に柚月は身体が抑えられなくなる。せめて少しでもハルの負担にならないように、とゆっくり動かす。

 返ってそれはハルを追い上げる熱になった。
「……っあ、ん……っん……あ、あ、やだ、あっ……」
「ごめん……辛いか……?」
 目をぎゅっとつぶったハルは頭を横に振った。

「……柚月さんのバカっ……」
 気持ちよくて、イっちゃう、と小さく言いながら柚月の首にしがみつく。そのハルの顔は真っ赤になっていた。

「……ヤラしいこと、言わせられた、……もうやだ、柚月さんなんか……キライだ、バカ……」
 言葉とは裏腹に、心も身体も、柚月に引き寄せられていく。

 長い指が自分の髪の毛を弄り、その声が、ミハル、と囁いたのを聞いて、ハルは全てを柚月に委ねた。
 
 
 

                         end.

 

     

     目次
  

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