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2012年1月

この空の下・2更新

 ご無沙汰していますo(_ _)oペコッ

 「この空の下」にたくさんの拍手、ありがとうございます。大変嬉しいです。

 二話目をUPしました~、よろしくお願いします。(^-^;

 まだ目次を作ってないんですが、三話目くらいで作ろうかと思います。その三話目もいつになることやら……┐(´-`)┌

 不定期更新ですが、出来れば次話もよろしくお願いします。

 

 

 

ヘヴンズブルー2・後日談「この空の下」2

 

    2.

 

 
『……ま、これ以上ノロケられたくないから追及しませんけどー。そんな好きなら、いろいろとちゃんとしたほうがいいと思いますよー』
 ファミリーレストランを出てすぐ、和臣のマンションに帰る途中。横断歩道で足を止めたナオの耳に先ほど別れたレイの声が蘇った。

(……あきれてたなあ、レイ……)
 それはそうだろう。さっきの自分の態度は、ふてくされた聞き分けのない子供そのものだった。
(でも……)

 それは仕方がないことだ、とナオは思う。和臣が自分の両親に会うと言い出したせいだ。
 しかもその度に返事を濁した自分に、ついに和臣は昨日、強硬手段を突きつけた。
 
『さっさと実家に連れていけ。……それぞれ家庭がある? だったら両方だ。母親の居場所が判らないなら、ひと雇って調べさせる。……お前があのガキのアパートにいる間、いくらでも居場所なんて突き止められたんだぞ』

 逃げられたと思って強引なことはしなかったが、今度はどんな手を使ってでも連れ戻す、と抱きしめられながら言われたことまで思い出し、ナオは顔を赤らめた。
 
 周りの人波が動き出す。それで信号が変わったことに気付いたナオは、和臣の甘い声を頭の隅に追いやって歩き出した。
(……帰ったら、また言われるんだろうなー)
 
 その思いがナオの歩みを鈍らせる。無意識に遠回りの道を選び、ほとんど通ったこともない住宅街にいつの間にか入り込んでいた。
 本当のところ、贅沢な悩みだとは判っていた。和臣は自分のことを一番に考えてくれている。彼は、彼が思うほど利己主義ではない、とナオは知っていた。

(臣さんはときどきすごく強引で、実際なんでも思い通りに出来るけど、……でも、僕の考えをないがしろにすることはしない)
 
 実家には行く必要はない、と主張する自分を、今まで『待った』のがいい証拠だろう。和臣の話 ─── いくらでも居場所は突き止められる、が本当だとすれば、─── そしてそれは多分本当なのだ ─── とっくの昔に自分を連れて両親と会っているはずだ。

 そうしなかったのはひとえに自分が両親とは会わせない、という姿勢を崩さなかったからだ。和臣が自分を想ってくれているのが判っていても、どうしてもそれだけは譲ることが出来ない。

(……臣さんは、あのひとたちを知らないから)
 あの二人が、実の父と母が、自分に興味がないのは判っている。会いに行っても、迷惑がられるだけだ。
(ましてオトコ連れてきたなんて)

 完全にアウトだ、とナオは思う。白眼視、という言葉さえ頭に浮かんだ。
(だいたいすでに勘当同然なのに、臣さんの籍に入るって言っても向こうだって「ああそうですか」としか言いようがないと思うけど)
 だからわざわざ会いに行く必要はない。やっぱり自分の考えの方が理にかなっている、とナオは自信を深めた。

 少しだけ足取りが軽くなり、周りに目を向ける余裕が出てくる。ふと目に着いた店の裏口が開いて、誰かが出てきた。
 すぐそばで待っていたらしい背の高い人物に足早に近付いて話しかける。
「先、帰っててよかったのに」
「……たまにはいいだろう」

「もー、……ダレかに見られて困んの、要さんだかんね。オレ知んないよ」
「知らなくていい。べつに困らないし」
 小声で話している。足を止めていたナオはぽかんと口を開けて、ふたりを凝視した。

「……ナオ?」
 視線に気付いたように、彼が振り返る。─── 相も変わらず綺麗な顔をしたハルだった。

 

 

 
 ……なんで僕、ここにお邪魔してるんだっけ、とナオは考える。
「アイスコーヒーでいい?」
「あ、うん」
 
 出されたアイスコーヒーに素直に口を付ける。あの「事件」のあと、ハルとは連絡が取りづらくそのままになっていたが、─── バイト先だというカフェの前で二言、三言話しただけで、ハルは表情を曇らせた。
『……ひょっとして、成沢さんとなんかあった? 帰りたくないって顔してる』
 
 軽くかわせたはずのその言葉に狼狽えてしまい、結果肯定したのと同じになってしまう。そこへ背の高い人物 ─── ハルの恋人の柚月が助け舟を出してくれた。
『久しぶりに会ったんだろう。うちで夕メシでも食べていけばいい。成沢さんには連絡入れて』

 柚月とは何度も会っている。ぼそぼそとしたぶっきらぼうな口調の奥に、以前と変わらない優しい誠実な人柄が窺えてナオはつい甘えてしまった。
(……邪魔……だよね、どーう考えても)
 柚月とハルが暮らすアパートのリビングダイニングに通されたナオは、目の前でにこにことしているハルをちらりと見る。

 視線に気付いたハルは、「ああ」とナオの手元のアイスコーヒーを見ながら言った。
「ビールの方がよかった? でもうちは未成年、アルコールだめなんだよー。要さんがうっさいから」
「誰がうるさいって? うちじゃなくても未成年の飲酒は禁止されてる」
「な? うっさいだろ」

 けらけらと明るく笑うハルの後ろを仏頂面の柚月が通り過ぎる。洗濯かごを手に奥の部屋に消えてしまった。
「……なんか、ごめんね」
「なにが?」
「新婚さんのおうちにお邪魔して」

 頬杖を突いてため息を漏らしてみせるナオに、ハルはぱっと頬を赤らめた。
「し……っしんこんってなんだよ。そーいうんじゃねーもん、……そういう言い方ってあのエロオヤジそっくりだぞ、ナオ」
「だってその通りじゃん。バイト先に迎えに来てもらって一緒に帰ったりとかさー、ラブラブってかんじ。……要さん、だって」

「……」
 赤らんだ顔を隠そうとしてか、ハルはぷいとそっぽを向く。にやにやと笑いながらもナオは壁に掛けられた時計を気にした。
 ダイニングテーブルの上に置いた携帯電話に目をやる。

「……」
 ハルも同様に携帯電話を見ていることに気付いて、目を逸らした。
「……成沢さんにメールとかしねーの?」
「……」

 連絡は、したほうがいいだろうとは判っていた。もしも和臣が何も知らずに早く帰宅してマンションに自分がいないことが判れば、不機嫌な声で携帯にかけてくるだろう。
 今は、なんとなく和臣と話したくない。ナオは携帯電話を取り上げて電源を切った。

「アレ、……マジゲンカ中?」
 電源を切ったことに気付いたらしいハルが、再びテーブルの上に置かれた携帯電話に向けた目を瞬かせる。
「ケンカっていうか、……まあ、そんなかんじ」
「へー。ケンカとかするんだ。なんか意外」

「そうかな」
 確かにケンカというと語弊があるかもしれない。多少の意見のすれ違いだ。
 ナオをじっと見ていたハルはにやにやと笑った。
「なに、成沢さんにあんまりしつこくされてイヤんなった?」

「そうじゃないよ」
 ぎこちなく笑って否定しながら、ナオはハルの顔をつくづくと見やった。─── 思えば、和臣と目の前のこのきれいな子は、一年ほど前、そういう関係だったのだ。
 
 友人であるハルと、その彼がかつて和臣のお気に入りだった、ということが今ではあまり結びつかない。それをまざまざと思い知らされ、ナオはハルを初めて見るような気持ちで見ていた。
「なに?……ヘンな顔してる、ナオ」

「ん、……そう?」
 胸の辺りがもやもやする。いや、ちくちくか。イライラにも似ている……とにかくおかしな感じだ、とナオは知らず知らずに顔を顰めた。

「……ひょっとして、妬いてんじゃね?」
 ぽつりと言ったハルの言葉にナオは意表を衝かれる。
 以前、和臣とケンカした時、「誰か連れ込んでも構わないな」と言われたことを思い出す。……あの時、顔も判らない相手と和臣の情事を想像して、泣きたくなるほどの嫉妬を覚えた。
 
 言われてみれば、今の自分の感情はその時の感情ととてもよく似ている。
「そう……なのかな?」
「なんだ、判んねーの? 面白くないってカオしてたじゃん」
 そうなのか。そんなふうに嫉妬に満ちた目をハルに見られたと思うと、その目を伏せずにいられない。

「僕、嫉妬してんのかな」
「たぶんね。……ゴメン」
「なんで?」
「なんかナオってそういうこと気にしないと思ってた」
「……僕もそう思ってた」

 実際、ほんの少し前まではそんな感情とは無縁のはずだった。和臣が自分を見てくれているだけで満足だと思っていた。
 しかしそのマイナスの感情は、ふたをしていただけで、本当はずっと心の奥の方にあった。
 
 目を逸らして見ていなかっただけで、ハルへの嫉妬は確かにあったのだ。
「……ごめん。なんか、ダメだ」
 テーブルに突っ伏して顔を隠す。ハルに妬みをぶつけてしまいそうだった。

「いいよ。オレのこと気に入らないんだ」
「……そんな……そんなんじゃないんだけど……そんなはず、ないんだけど……こういうのイヤなんだけど……」
「……成沢さんのこと、好きなんだ?」

「……うん。……たぶん。……すごく」
 見えないハルがテーブルの向こう側で笑ったような気がした。伸びてきた華奢な手がナオの頭を撫でる。
「すげー惚気。……成沢さん喜ぶだろうな、ナオがやきもち焼いたなんて知ったら」
「……ハルは、嫉妬とかしないの。……ああ、ハルみたいにキレイだったら柚月さん他の人見ないから、こういうつまんない嫉妬なんかしないよね」

「自問自答すんなよ。それにちょっとヒクツー」
「卑屈でいいよ……」
 ハルには判らない、とナオは思う。ハルみたいに綺麗で和臣に見初められて、優しく誠実な柚月を夢中にさせるような人間には、コンプレックスでいっぱいの自分の気持ちなんて判るはずもない。
 
 そう思いながら、そんなふうに考えてしまう自分が嫌だった。ハルに、こんな自分を見られたくない。
 その気持ちを察したようにハルが立ち上がった。
「ちょっと外出てくる」
「え?」

 驚いて、顎をテーブルに付けたまま、ナオは目の前のハルを見上げた。
「なんで、どうしたの」
「んー、買いもの。すぐ帰るから待ってて」

「え? え?」
 上体を起こしてきょとんとするナオを置いて、ハルは柚月に声をかけると慌ただしく外に出て行ってしまった。
 ナオはしばらくぼんやりと玄関ドアとの間仕切りにしてあるパーテーションを見ていた。……ハルが気を遣って、外に行ったのだ、とようやく気付く。

(僕、イヤな奴だ)
 ハルはこんなに優しいのに、ハルを妬ましく思っている。
 いよいよ自分が嫌になってしまったナオは頭をテーブルにゴンとぶつけて、そのまま顔を伏せた。
 

  
 
      

    
  ヘヴンズブルー2・目次この空の下・第3話
  

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